ドラえもんのひみつ道具「どこでもドア」。ピンク色の扉を開くと、自分の行きたい場所に行くことができる。一度は使ってみたいと夢見た人も多いのではないだろうか。

その「どこでもドア」が、なぜか奈良の空に現れた――。そんなツイートが話題を呼んでいる。


なぜここに、どこでもドア...?(画像はしん@shinseyesさん提供)

青空をバックに、ポツンと佇む鮮やかなピンクの扉。半開きになっているが、誰かここを通ってどこかに行ってしまったのだろうか...。色といい形といい、どう見ても「どこでもドア」のようだ。

ツイッターでは複数のユーザーがこの扉の写真を投稿。サッシドアを製造する斑鳩(奈良県斑鳩町)の工場の屋上に設置されているという。

この「どこでもドア」のような扉にツイッターでは、

「えwなんでw」
「そこにドアを置こうという発想がいいですね?」
「まさに粋ですね でも半開きなんですね笑」
「遊び心最高!」

といった声が寄せられている。

「『なんでもドア』です」

それにしても、なぜこんなところに扉が置かれているのだろうか。

Jタウンネットは2020年8月7日、斑鳩の代表取締役社長・寺西宏之さんを取材した。


青空に映える(画像はしん@shinseyesさん提供)

1961年創業の斑鳩はオーダーメイド専門でサッシドア等を製造。2021年で創業60周年を迎える。

寺西さんによれば、扉を設置したのは20年7月。もはや完全に「どこでもドア」として親しまれているが、この扉の正体は何なのか。寺西さんに聞いてみると...

「どんなドアでも作れるから『なんでもドア』ですね」

つまり「どこでもドア」ではないということか...。念のため確認してみたが、やはり「ドラえもんを意識したわけではない」とのことだった。

しかし、そもそもなぜ屋上に扉を設置したのか。

寺西さんによれば、扉は遊び心だけで設置したわけではなく、「何の会社か分からなくても良いので、眺めて(会社に)関心を持ってほしい」という意図も。また、コロナ禍の状況を踏まえ「扉を見て元気を出してほしい」という思いもあるそうだ。扉がピンク色なのも「明るい気持ちになってほしい」という理由からだという。

扉は20年春頃から、仕事の合間を縫って制作。高さ約2.2メートル、横1.2メートル、重さ160キロの鉄製だ。屋上に設置している時は風で倒れないように固定してあるが、それを外せば普通の扉と同様に開閉できる。

扉が半開きになっているのは、風が抜けるようにするほか、「扉からいろいろな商品を発信していきたい」という思いを込めているという。

「どこでもドア」ではなかったものの、この扉の存在がワクワクした気持ちにさせてくれるのには違いない。寺西さんは屋上の扉がツイッターで話題になったことについて、

「話題になるとは思っていなかったし、期待もしていませんでした。知っていただけて、ありがたいことと思います」

と話している。