土星で新たに20個もの衛星が見つかったことを、国立天文台やアメリカのカーネギー研究所が発表しました。今回の発見によって、土星の衛星の数は合計82個に到達。2018年に12個の衛星が見つかった木星の衛星が合計79個ですから、「太陽系で一番多くの衛星が見つかっている惑星」は土星ということになります。


■20個のうち17個が自転と逆向きに周回する逆行衛星

これらの衛星は、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」が2004年から2007年にかけて取得した観測データから見つかりました。20個の衛星はどれも直径5kmほどの大きさで、その軌道から以下の3つのグループに分類されています。


・イヌイット群:合計2個。約46度の傾きを持った軌道を、順行(土星の自転と同じ方向に周回)しています。かつて存在した衛星の破片ではないかとみられています。
・北欧群:合計17個。約36度の傾きを持った軌道を、逆行(土星の自転とは逆方向に周回)しています。イヌイット群とはまた別の衛星の破片ではないかとみられています。このうちの1つは土星の一番遠くを周回する衛星です。
・ガリア群:1個のみ。北欧群に近い約36度の傾きを持った軌道を、順行しています。ほかの順行衛星よりも離れたところを周回しているので、時間をかけて軌道が変化したか、あるいはガリア群に分類できない可能性も残されています。


こちらの画像は、今回見つかった衛星の軌道を示したイメージ図。青がイヌイット群、赤が北欧群、緑がガリア群の衛星を示しています。全体的に土星からかなり離れたところを周回する衛星であることがわかります。


土星で新たに見つかった衛星の軌道を示したイメージ図(Credit: Illustration is courtesy of the Carnegie Institution for Science. Saturn image is courtesy of NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute. Starry background courtesy of Paolo Sartorio/Shutterstock.)


■誰でも応募できる新衛星の命名キャンペーンが始まった!

新衛星の発見を主導したカーネギー研究所のScott Sheppard氏は、2018年に見つかった木星の新衛星も見つけています。


今年の春、Sheppard氏は12個見つかった木星の新衛星のうち5つについて、Twitter経由で名前を募集する命名キャンペーンを実施しました。この企画が好評だったようで、今回見つかった土星の新衛星についても同様のキャンペーンがすでに始まっています。


キャンペーンによって命名されるのは、20個の新衛星すべてです。選べるのは神話に登場する巨人の名前で、イヌイット群の衛星はイヌイット神話から、北欧群の衛星は北欧神話から、ガリア群の衛星はガリア神話から選ぶ必要があります。すでにほかの天体で使用されている名前は使うことができません。


応募方法は今回もTwitter経由で、選んだ巨人の名前とその理由にハッシュタグ「#NameSaturnsMoons」を添えて、キャンペーンのアカウント「@SaturnLunacy」宛にツイートすれば応募完了です。キャンペーンの公式ページでは写真、イラスト、動画などの使用を推奨しています。


なお、言語については特に触れられてはいませんが、英語での応募が必要になると思われます。応募期限は2019年12月6日まで。詳しくは命名キャンペーンの公式ページ(英語)をご確認下さい。


 


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Image: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
Source: SubaruTelescope - carnegiescience
文/松村武宏