会見する是枝裕和監督

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 韓国・釜山で開催中の「第24回釜山国際映画祭」で、是枝裕和監督が存在感を示している。

 例年、日本の映画関係者が数多く招待される映画祭だが、今年は日韓関係が過去最悪とまで言われる中での開催だけに、例年とは違う緊張感が漂う中での開催となった。

 同映画祭で是枝監督は「今年のアジア映画人賞」を受賞し、5日に記者会見を行った。新作「真実」(11日公開)についての質問が続く中、ある韓国人記者から「日韓関係が悪化している状況をどう思いますか? もし答えると右翼に脅されるようなことがあるなら、ノーコメントでも構いませんよ」といった挑発的な質問が飛び出した。

 これに慌てたのが同映画祭のチャン・ヤンジュン委員長だ。「映画以外の質問には答えなくていいですよ」と制止したが、是枝監督は笑顔。2014年、朴槿恵政権の客船沈没事故対応を批判的に描いた映画「ダイビング・ベル」を同映画祭が上映し、開催が危ぶまれたことを踏まえて次のように語った。

「5年前、釜山映画祭が政治的な圧力を受けて開催が危ぶまれた時に、世界中の映画人から『映画祭を支えたい』という声がありました。僕も微力ながら声を上げて、この映画祭に対する意思を表明しました。その時の釜山映画祭の対応には、よく頑張ったな、よく耐えたなと思っています」

 続けて是枝監督は「政治が困難に直面してできない連帯を、映画と映画人がより豊かに、より深く示すことで、逆にこういう形で連帯ができるのだ、とみせていくことが大事ではないかなと思っています。なので、この場に来ています」と毅然とした態度で語った。

 これには地元メディアも納得した様子。また同日行われた「真実」の上映には韓国人ファンが押し寄せ、840席の劇場が満席に。多くのファンにサインを求められるなど、日韓問題悪化を感じさせない盛り上がりをみせていた。