駄菓子を陳列する清水さん=1日、平間銀座商店街

 川崎市中原区の平間銀座商店街の一角に店を構える駄菓子店「駄可笑(だがし)屋敷」。大学生らが切り盛りする店舗は昨年9月のオープン以来、地域の子どもたちが集う居場所になっている。全国的に姿を消しつつある子どもたちの“社交場”を若者が手がけ、大人たちを巻き込みながら見守りにもつなげたい─。運営メンバーは「思い出をつくりながら、地元とのつながりを感じる。子どもたちに価値ある時間と経験を届けられる場になれば」と思いを託す。

 ガラス張りの引き戸を開けると、明るく開放感のある空間が広がる。書店跡に開いた店に集まる客は大半が小学生。放課後になると、小銭を握り締めて続々とやって来る。風船ガム、円盤形のチョコレート、ヨーグルト風味のクリーム─。40種類ほどの駄菓子が置かれた棚を前に、値段の計算に苦労する子どもの姿も頻繁に見られる。

 平日の人気商品は男児がミニサイズのカップ麺、女児が指輪型キャンディー。休日になると、遊びながら学ぶことができる知育菓子が「なぜか好評」と代表の清水晴さん(20)=大学3年。まれに来店する大人は、並んだお菓子をまじまじと眺めて懐かしむことが多いという。

 子どもたちは買い物を楽しむだけではなく、チラシ配りや商品の品出しなど自主的に手伝いを申し出ることも少なくない。スタッフの佐藤史菜さん(21)=同=は常連の女児2人が「この場所が好きだから、少しでも良い場所だと思ってほしい」と話し、掃除を手伝ってくれたことが印象深いと振り返る。帰り道にあいさつしてくれる子もおり、清水さんとともに「活動は毎回、思い出になっている」と口をそろえる。

■県内初出店、「夜の部」にも意欲

 「小学生の頃、駄菓子屋さんは憧れの場所だった。接客マニュアルに縛られない、良い意味で適当なおばちゃんがいるイメージ」とほほ笑む清水さん。今は、その「おばちゃん」のように、来店する子どもたちに対して、おおらかに接することが目標だ。

 店を運営する一般社団法人「駄可笑屋敷プロジェクト」は2021年に発足し、大学生が駄菓子店を通して地域コミュニティーをつくるための活動に取り組む。東京都内で同じく駄菓子店を構え、子ども食堂や古着交換会も手がけてきたが、県内では初の出店。今後は店舗数を増やし、子ども食堂も目標に据える。

 駄菓子店は「1人で夜を過ごす子どもの居場所になってほしい」との思いを込め、夜の部の営業にも意欲を見せる。清水さんは「年齢を問わず来店してもらうことで子どもが地域の大人とつながり、見守りになれば」と期待を寄せている。