足運びなど取り組みの成果を実感。アジアでメンタル面の財産も得たDF熊田佳斗(大宮)がこれから価値を証明する
5月5日に開幕したAFC U17アジア杯サウジアラビア2026はグループステージ第2戦までを消化した。U-17カタール、U-17中国両代表を撃破して勝点6を得た日本だが、まだ突破確定には至っていない。
12日に行われるU-17インドネシア代表との第3戦で、グループステージ突破と、それによって得られるFIFA U-17ワールドカップ出場権確保を狙う形だ。小野信義監督は「逆に緊張感のある試合が残ったことで、選手たちにとって良い経験になる」とこの状況をポジティブに捉えている。
第2戦の翌10日に行われたグラウンドでのトレーニングには、出場機会の少ない選手たち6名のみが参加。17名はグラウンドには出ず、リカバリーメニューを消化する形となった。
灼熱の太陽が照り付ける中での少人数のトレーニングとなったが、「悔しい思いはあるが、やるだけです」と真摯に取り組むGK高橋恒輝(大成高)や、「本当にものすごく良い経験をさせてもらっていますから」と前向きに語るGK木田蓮人(帝京長岡高)といった、これまで出場機会がゼロの選手たちも意欲的なプレーを継続。熱のこもった練習となった。
その中にあって、違った意味で特別な闘志を感じさせる選手がいる。それが、DF熊田佳斗(大宮)だ。
熊田はU-17カタール代表戦で3バックの中央で先発出場。堂々たるプレーを見せていたものの、一瞬の隙からボールを奪われてしまい、まさかの失点に繋がるプレーを見せてしまった。直後には精神的なショックの大きさも感じさせていた。
「あれは自分のミスから失点してしまったと思っています。(海外の選手の)強さだったり速さだったりというのを実感させられましたし、あそこはもっとアラートにやっていかないとこれから勝てない。思っていたより相手が強くて、あれが国際試合のレベルだと感じた」
ただ、すでに「切り替えています」と語るように、その失態も「新たな成長につながっている」と前を向く。ミスしてしまったあとの振る舞いや、試合中に切り替えていくメンタルの持ち方の重要性についても考える機会になったと言い、さまざまなアドバイスも受け取ったと語る。失敗を無駄にするのではなく、成長の糧にしていきたい考えだ。
この日のトレーニングでもう一つ印象的な場面があった。ウォーミングアップを兼ねて行われていた競争の要素を入れたフィジカルトレーニングの一コマだ。短い間隔で立てられたポールの間をかいくぐり、その先にあるコーンを手に取ってターンして、手前のポールに立てるというメニュー。これを1対1で行い、勝ったものに“勝点3”が入るというルールだった。
この日の練習に参加しているフィールダー4名による総当たり戦で、熊田は“勝点9”を獲得。つまり全勝となったのだ。スタートの反応とスピード、ターンのフットワーク、そして最後にスピードをコントロールしながら上体を動かす部分まで、実は総合的なアスレチック能力が求められるのだが、熊田はこれをパーフェクトにこなしてみせて、驚きの声があがっていた。
本人も「1年前だったら絶対に無理」と笑うように、本来は得意分野ではない。185cmの大型選手にありがちな足運びの“鈍さ”やフットワークの問題があった。ただ、大宮が“RBグループ”になったのを機に、海外の知見を持つトレーナーに教えをこいてフットワークの改善にも取り組んできた成果で、「成長しているっていう自信を持てた」と、本人にとってもうれしい“勝点9”となった。
もちろん、まだまだ発展途上ではあるのだが、自分の弱みを直視して改善に努めてきた成果は確実に出ている。それに何より、苦い経験をした第1戦から、メンタル面での財産も得た。
「前の試合のあと、『応援してくれる人がいる』というのも逆に実感できましたし、そういう人たちに恩返しできるように次に出たら絶対に良いプレーをして、チームを優勝に近づけられるように頑張っていきたいと思います」
あとは実戦を通じ、熊田佳斗の価値をあらためて証明するのみだ。
(取材・文 川端暁彦)
12日に行われるU-17インドネシア代表との第3戦で、グループステージ突破と、それによって得られるFIFA U-17ワールドカップ出場権確保を狙う形だ。小野信義監督は「逆に緊張感のある試合が残ったことで、選手たちにとって良い経験になる」とこの状況をポジティブに捉えている。
灼熱の太陽が照り付ける中での少人数のトレーニングとなったが、「悔しい思いはあるが、やるだけです」と真摯に取り組むGK高橋恒輝(大成高)や、「本当にものすごく良い経験をさせてもらっていますから」と前向きに語るGK木田蓮人(帝京長岡高)といった、これまで出場機会がゼロの選手たちも意欲的なプレーを継続。熱のこもった練習となった。
その中にあって、違った意味で特別な闘志を感じさせる選手がいる。それが、DF熊田佳斗(大宮)だ。
熊田はU-17カタール代表戦で3バックの中央で先発出場。堂々たるプレーを見せていたものの、一瞬の隙からボールを奪われてしまい、まさかの失点に繋がるプレーを見せてしまった。直後には精神的なショックの大きさも感じさせていた。
「あれは自分のミスから失点してしまったと思っています。(海外の選手の)強さだったり速さだったりというのを実感させられましたし、あそこはもっとアラートにやっていかないとこれから勝てない。思っていたより相手が強くて、あれが国際試合のレベルだと感じた」
ただ、すでに「切り替えています」と語るように、その失態も「新たな成長につながっている」と前を向く。ミスしてしまったあとの振る舞いや、試合中に切り替えていくメンタルの持ち方の重要性についても考える機会になったと言い、さまざまなアドバイスも受け取ったと語る。失敗を無駄にするのではなく、成長の糧にしていきたい考えだ。
この日のトレーニングでもう一つ印象的な場面があった。ウォーミングアップを兼ねて行われていた競争の要素を入れたフィジカルトレーニングの一コマだ。短い間隔で立てられたポールの間をかいくぐり、その先にあるコーンを手に取ってターンして、手前のポールに立てるというメニュー。これを1対1で行い、勝ったものに“勝点3”が入るというルールだった。
この日の練習に参加しているフィールダー4名による総当たり戦で、熊田は“勝点9”を獲得。つまり全勝となったのだ。スタートの反応とスピード、ターンのフットワーク、そして最後にスピードをコントロールしながら上体を動かす部分まで、実は総合的なアスレチック能力が求められるのだが、熊田はこれをパーフェクトにこなしてみせて、驚きの声があがっていた。
本人も「1年前だったら絶対に無理」と笑うように、本来は得意分野ではない。185cmの大型選手にありがちな足運びの“鈍さ”やフットワークの問題があった。ただ、大宮が“RBグループ”になったのを機に、海外の知見を持つトレーナーに教えをこいてフットワークの改善にも取り組んできた成果で、「成長しているっていう自信を持てた」と、本人にとってもうれしい“勝点9”となった。
もちろん、まだまだ発展途上ではあるのだが、自分の弱みを直視して改善に努めてきた成果は確実に出ている。それに何より、苦い経験をした第1戦から、メンタル面での財産も得た。
「前の試合のあと、『応援してくれる人がいる』というのも逆に実感できましたし、そういう人たちに恩返しできるように次に出たら絶対に良いプレーをして、チームを優勝に近づけられるように頑張っていきたいと思います」
あとは実戦を通じ、熊田佳斗の価値をあらためて証明するのみだ。
(取材・文 川端暁彦)
