船を送り出す日本の伝統! 初めて海へ浮かべる儀式「進水式」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

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船を初めて海へ浮かべる儀式「進水式」とは?

船を海へ送り出す伝統の儀式

新しくつくられた船を初めて海に浮かべる儀式を「進水式」といいます。巨大な船体がゆっくり海へ滑り込み、無事に浮かび上がる瞬間は、造船に携わった人々にとって大きな喜びです。船は完成までに長い期間と多くの工程を要するため、その完成を祝う進水式は古くから特別な行事として受け継がれてきました。

式典では船首にシャンパンボトルをぶつけて割る風習は世界的に知られていますが、日本では酒樽を割ったり、神職が航海の無事を祈願したりする習わしもあります。海は危険と隣り合わせの場所であり、無事を祈る文化が自然と形になったのです。

さらに、日本には船を守る存在として「船玉神」を祀る風習があります。地域によって祀り方は異なるものの、そこには海へ出る人々が神の加護を求めてきた歴史が息づいています。

こうした儀式や習わしには船への敬意と海に挑む人々の願いが込められ、進水式は船の門出として今も大切に守られています。

また、進水の方法には、船体を横向きに滑らせる「横進水」もあります。

以上は、船台上で建造された船の進水式ですが、現在はドックでの建造が主流となっており、ドックに注水して船を浮上させるのが進水式となります。

進水式の主な流れ

進水式とは……船としての誕生を祝い、航海の無事を祈る式典

① 命名式

船主が船名を読み上げ、名前を与える

② 最終作業

作業開始の鐘が鳴り、作業員が最後の準備を整える

③ 支綱切断

船主が船につながるロープを切断

④ 進水

船首にシャンパンボトルをぶつけて割り、それを合図に進水する

進水式は、船を初めて海に浮かべる大切な儀式です。船台の上を滑走して海に浮かぶ瞬間は、船が本格的な完成へ向かう大切な節目となります。

船玉神と進水の文化

船に宿る信仰・文化

船玉神(船霊)は船を守るとされる神霊。サイコロ、人形、硬貨、穀物などを神体にして、将棋の駒型の木製容器に納め、操舵室に祀られる

女神とされるが名前は定まっておらず、猿田彦神、大日如来、天照大御神などとする場合も。本来は船に宿るとされる神霊信仰が元になったと考えられている

日本では、古くから航海の無事を願う信仰が根づき、船玉神や守り札を祀る風習が受け継がれてきました。海へ出る人々の祈りが、進水の文化にも息づいています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂