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 ◇セ・リーグ 阪神2―0巨人(2026年3月28日 東京ドーム)

 阪神は28日、巨人戦(東京ドーム)に2―0で勝利し、今季初勝利を飾った。先発の高橋遥人投手(30)は9回3安打無失点の好投。自身21年10月2日の中日戦以来、5年ぶり3度目の完封勝利を、今季12球団一番乗りで達成した。通算5度の手術を経験した9年目左腕が初の開幕ローテーション入りを果たし、初めて3月に白星をマーク。不屈の男がシーズン初完走へと大きな一歩を踏み出した。

 これまでとは違う。“完全体のハルト”でつかんだ価値ある1勝。思いを乗せた魂の112球だった。2点優勢の9回2死二、三塁。最後までマウンドに立ち続けた高橋が岸田を空振り三振に斬ると、珍しく豪快な雄叫びを上げた。

 「(最後は)アドレナリンが出ていたので…。めっちゃ叫んじゃいました。今は良かったなっていう、ホッとしたって感じです」

 あまり感情を表に出さない男は照れくさそうにほほ笑んだが、圧巻の内容だった。5回1死まで完全投球。8回1死では中山のゴロが左膝付近に当たるアクシデントもあった。それでも最後まで力強く投げ続けた。

 21年10月2日の中日戦以来の完封。球数が100球を超えたのも同年10月14日の巨人戦(105球)以来5年ぶりだった。2年ぶりのシーズン初登板初勝利、初めて3月に白星を挙げる“自己最速星”。「最終回が一番いいボールを投げられたので、凄い自信になりました」と手応えもつかんだ。

 入団以降は度重なる故障に苦しみ、肩や肘など通算5度もメスを入れた。22年4月には左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)。22、23年と登板がなく、育成契約も経験した。「みんなが野球をやっている姿を見るっていうか(オフよりも)身近に野球がある(シーズン中の)時の方がきつかった」。リハビリ中はファーム本拠地の外野を走り続けるしかなかった。当たり前のようにキャッチボールへ向かうチームメートの背中を、うらやましく感じてしまう自分がいた。

 その苦境を乗り越えてこられたのは同じ痛みを分かち合う仲間が、心の支えとなったからだ。「一人だときつかった。一緒にやって、励まされて頑張ってきたので。才木とか島本さんも、だからこそ応援できる。励ましてくれたから」。島本(現日本ハム)や、才木、小川、下村らはいずれも全治1年以上のトミー・ジョン手術を経験し、つらいリハビリに向き合ってきたかけがえのない存在だ。

 9年目にして初めて開幕ローテーション入りし、ようやく訪れたハルトの春。「一年、どんな形でも投げ切って頑張ります」。力強く話す姿には、シーズンを戦い抜く覚悟と頼もしさをにじませた。 (山手 あかり)

≪球団初の開幕カード巨人戦完封勝利≫

 ◯…阪神の開幕カードでの完封勝利は、08年3月30日の横浜戦で福原忍が挙げて以来、18年ぶりだ。阪神が開幕カードで巨人と対戦したのは今年で16度目だが、開幕カードの巨人戦での完封勝ちは高橋が球団史上初めてとなった。