任天堂が30年前に作ったVRデバイス、バーチャルボーイを検証
やっぱり、任天堂は神。
およそ10年に一度、テクノロジー業界は「VRが本格的にやってくる!」と盛り上がります。たしかに、Meta QuestやApple Vision Proなど、今はハイテクなデバイスが出回っていますが、過去のVR技術もなかなかイイ線いってますよ。
たとえば、1995年に発売された伝説の迷作、任天堂の「バーチャルボーイ」をご存じでしょうか。30年以上前の技術でVR?と疑問に思われるかもしれません(近日中にバーチャルボーイのリバイバル版がリリースされることが発表されています)。
老舗ユーチューバー“Slo-Mo Guys”の1人であるギャビン・フリー氏の動画では、バーチャルボーイの仕組みや独創的な技術が紹介されているほか、175万fpsのゲームをプレイしている様子も。
現代のヘッドセットを見慣れた方は、バーチャルボーイを見てもVRデバイスだと気づかないかもしれません。とりあえず、ヘッドセットではありません。バーチャルボーイは、万華鏡や双眼鏡を見るように、テーブルに据え付けられたデバイスをのぞき込むような感覚で体験するデバイスです。
現代と1995年当時のVRへのアプローチの違いは、外観や人間工学だけではありません。本格的な3D環境のレンダリングは今のヘッドセットでも苦戦するポイントですが、バーチャルボーイはそれをユーザーの目と脳に委ねる、という作戦をとったのです。
バーチャルボーイの魔法とは
バーチャルボーイの魔法は、2つのディスプレイ(左右の目に1つずつ)から始まります。解像度は、まさかの1×224。タイプミスではありません。各ディスプレイの幅は、ぴったり1ピクセル。ディスプレイは非常に小さく、高さは約0.4インチ(約1.0cm)で、2つの大きなレンズが映像を拡大してユーザーに届けます。
各ディスプレイは本体前面に対して垂直に配置され、その映像は2枚のミラーに反射し、ユーザーの目に届きます。ミラーはそれぞれ、ディスプレイに対して約45度の角度で設置。
「約45度」と書いたのは、ミラーが動いているから。ミラーは高速で動き、1秒間に50回振動します。ミラーが動くことで、ユーザーにはピクセルの列が視野内を行ったり来たりしているように見えます。これは、昔のブラウン管テレビと同様の仕組み。ブラウン管テレビは、画面に電子ビームが照射され、高速で往復走査することで画像が生成されました。
バーチャルボーイは2つの独立したディスプレイを使用することで、3D画像の錯覚を生み出したのです。これは、現代のヘッドセットと同様、両眼にわずかに異なる視点から映像を表示することで実現。
時代を先取りしすぎて失敗
もちろん、制限もありました。ディスプレイに使用されているのは赤色LEDのみで、画像はモノクロ。これが処理能力節約のカギでもありました。しかしフリー氏は、バーチャルボーイをフルカラーで表示するには青色LEDが必要だったはずだと指摘。青色LEDは実際には比較的最近の技術で、それはそれで興味深い物語が存在します。
いずれにせよ、独創性で製品だったにもかかわらず、売り上げ的にバーチャルボーイは失敗に終わりました。レビューでは、目の疲れやめまいに関する苦情が寄せられ、発売からわずか1年で生産中止に。対応タイトルはわずか22タイトルしかリリースされませんでした。1995年当時、世界はまだVRを受け入れる準備ができていなかったのです。

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