アプリで出会ったイケメン男性の“結婚したい理由”にドン引き「家族と不仲で…」

「しょっぱなから、そんな重い話をされても……と困惑しました。それに、ヤンデレっぽいところがあって怖かったです」

 そう語る太田美帆さん(仮名・35歳)は、3ヶ月前にマッチングアプリを介して出会った男性にドン引き。背筋が寒くなる思いをしました。

◆やたらと「かわいい」を連呼する同い年の男性とマッチング

 同棲していた恋人から結婚の話が出なかったため、別れを選んだ美帆さん。年齢的に結婚を焦る気持ちからマッチングアプリを利用し、将来を真剣に考えてくれる人を探すことにしました。

 アプリを始めてから程なくしてマッチングしたのが。同い年の大場昌幸さん(仮名)。昌幸さんは最初から「かわいいですね」と美帆さんに猛アプローチ。そのため、美帆さんは軽い人だと感じ、マッチングしたものの、返信はマメにしていませんでした。

 しかし、美帆さんが仕事で大きなミスをして落ち込んでいた時、関係性は一変。昌幸さんは「電話してもいいですか?感情を吐き出すと、少し楽になれると思うので、僕でよかったらいくらでも聞きますよ。むしろ、聞かせてほしいです」と言ってくれました。

「それを機に、彼への印象が変わりました。トークだとチャラそうでしたが、電話だとそんな感じはせず、むしろ緊張していて。私の気持ちを考慮しながら、的確なアドバイスをくれたので、頼れる人なのかもとも思いました」

 この一件を機に、2人は急接近。日常的にトークを交わすようになり、やがて会う約束も。「僕なんかが隣に並んでいいのか分かりませんが、美帆さんが恥ずかしい思いをしないように精一杯おしゃれしていきますね」という彼からトークは心に響き、美帆さんは会うのがより一層楽しみになりました。

◆初めての食事で“家族への恨み”を語られた

 初対面の日、待ち合わせ場所に現れた昌幸さんは、写真よりもイケメンな塩顔男性。2人は、昌幸さんが予約してくれていたランチへ。しかし、このランチタイムで美帆さんは思わぬ苦痛を感じることになります……。

 まずは軽い自己紹介から……と思い、美帆さんが家族のことを尋ねると、途端に昌幸さんは険しい顔になり、「実は家族と不仲で、特に親父のことは昔から憎んでいます」と告白。

 美帆さんは、あまり深く突っ込んではいけない話題だったと反省し、会話を逸らそうとしましたが、昌幸さんはスイッチが入ってしまったようで、延々と家族に対する恨みを語り続けました。

「彼は、弟のほうができがよく、いつも比較され、馬鹿にされてきたそうです。結婚も弟のほうが早く、美人で聡明な奥さんを貰ったため、家族の中で弟の評価はますます上がり、彼はより劣等感を味わっていると言っていました」

 だから、僕は弟よりも綺麗で賢い奥さんを貰って、あいつと自分を馬鹿にしてきた家族を見返したい。そう熱く語る昌幸さんを見て、美帆さんは彼との将来が考えられなくなりました。

「彼にとっての結婚は、弟や家族を見返すもの。そんな復讐のために利用されるのは嫌だなと感じたので、今回限りの関係にしようと思いました」

◆ヤンデレのような彼の言動にゾクリ…

 そこで、美帆さんは食事後、「どこかでお茶でもしませんか?」という昌幸さんの誘いをやんわりと断り、「緊張して疲れちゃったので、今日はこのへんで……」と解散しようとしました。

 すると、昌幸さんは「だったら、車で送っていきますよ! 疲れているのに、ひとりで歩かせられませんから」と提案。美帆さんは、よく知らない人の車に乗るのは怖いと思い、断りましたが、「送らせてくれないなら、後ろからずっとついていきますよ」と、ゾっとする言葉を言われ、渋々承諾。

 昌幸さんは車の中でも、家族への恨みを延々とひとり語り。耐え切れなくなった美帆さんは「このあたりの駅が自宅に近いので……」と嘘をつき、一刻も早く別れようとしました。

 すると、車を止めた昌幸さんは降りようとする美帆さんにバックハグ。「次もデートしてくれますか? そうじゃないと、離しません」と背筋が凍る台詞を放ちました。

「やむを得ず、はいと言ったら離してくれましたが、怖かったです。その後、すぐそのマッチングアプリから退会しました。LINEを交換していなかったので、よかったです」

 予期せぬ経験をした美帆さんは彼の出会い後、トークや電話をたくさんして相手の人となりを見るなど、会うまでに時間を費やすようになったのだそう。マッチングアプリはまったく知らない相手と出会うからこそ、できる限り、自分の身を守りつつ、砂の中から砂金を探したいものです。
<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291