東急電鉄が2017年10月9日の祝日に池上線の1日乗車券を無料で配ると発表し、ツイッター上などで待ち望む声が次々に寄せられている。

同時に、東京都区部だけに混雑を心配する声も上がった。Jタウンネットでは、東急電鉄にどう対応するのか話を聞いた。

歓迎の声のほか、「混雑しそう」などの懸念も


東急池上線(LERKさん撮影、Wikimedia Commonsから)

池上線と言えば、ある年代層にとっては、1976年に大ヒットした西島三重子さんの同名の歌が思い浮かぶかもしれない。

池上線は、沿線にある池上本門寺に参拝する乗客の利用を見込んで、1922年に歴史が始まった。五反田(品川区)―蒲田(大田区)両駅間の全線は、28年に開通し、現在は、1日平均の乗降客が24万人にも達している。

2018年で開通から90年を迎え、今回の1日無料乗車券は、それを記念するイベントとして企画された。首都圏の鉄道会社では初めてだという。10月9日の配布は、東急の名前にちなんだもので、当日は、15駅の各改札口近くで希望者に乗車券を配る。

この発表に対し、ツイッター上では、「やるなあ」「沿線住民として応援したい」などとこの企画を歓迎する声が上がった。一方で、池上線の車両が3両しかないことから、「混雑が予想されますね」「ホームが狭い駅が多いのに大丈夫か」などと混乱を懸念する指摘が相次いでいる。枚数を限定しないのか、増便しないのかといった疑問も出ている。

東京急行電鉄の広報課は9月7日、Jタウンネットの取材に対し、次のように説明した。

「乗車券を過不足なく用意し、状況を見て増便」

「乗車券がなくなることがないように、しっかりと行き渡る準備をしています。少なくとも24万枚以上は用意する予定です。ホームの長さがないので、3両以上に車両を増やせませんが、増便については、ありえます。状況を見て、臨機応変に対応するつもりです。始発から終電まで、きちんとやる覚悟でいます」

池上線の沿線人口は、25年までは増える見込みだが、少子高齢化が進んでおり、その後は減少するとみられている。東急では、沿線の魅力を知ってもらい定住化も促そうと、9月6日から1日無料乗車券を含めた活性化プロジェクトを始めた。

沿線の15駅ごとに「生活名所」を指定し、10月9日は、こうした名所などを巡る6種類の有料ツアーを行う。名所は、戸越銀座駅の「焼鳥エビス」や蓮沼駅のセレクトショップ「鈴木商店」などがある。受け付けは、専用サイトで行い、レストラン巡りや夜のスポット訪問、鉄道ファン向け企画などが用意されている。ツアーは、11、12月にも行う予定だ。


下町情緒あふれる沿線の戸越銀座商店街