大井真理子さん
 “国際ニュースの現場で活躍したい”という夢をかなえた大井真理子さん。BBCワールドニュースの日本人初のビジネスレポーターとして、シンガポールを拠点に世界に向けてニュースを発信する役割を担い、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」では、その熱意と主体的な行動が評価され入賞。そんな、世界で活躍中の女性の一人である大井さんに、海外で活躍するための心意気や、経済情報を押さえておくメリットなどを聞いてきました。

――BBCのレポーターになろうとしたきっかけはあるんですか?

大井真理子(以下、大井):16歳からオーストラリアに留学したのですが、最初のころは、全く英語が分からず、友達もいなかったので、家でポケーっとテレビを見ていました。その時BBCのドキュメンタリーが偶然始まり、お腹がポコッとでた、飢餓に苦しむ子供たちの映像にくぎづけになりました。それまでは、ニュースや時事問題に全く興味がなかったのですが、その時から視覚に訴える報道がしたいと思うようになりました。

――最初から経済報道を目指していたのでしょうか?

大井:大学生の頃は、オーストラリアの「ABC(オーストラリア放送協会)」で、インターンとしてジャーナリズムの現場での経験を積ませていただきました。卒業後、今度は、報道の本場であるニューヨークで経験を積みたいと考え、無鉄砲にも行ってみました(笑)。お仕事はいただけませんでしたが、その時にお会いしたニュースディレクターに、「経済報道ができると強いよ」とアドバイスを頂きまして、その後、日本のブルームバーグ(経済専門TV)から仕事のオファーをいただけたのです。そこでは、一年半くらいお世話になりましたが、休暇でイギリスに行った際、10年後にお電話いただければいいな…みたいな感じで、憧れだったBBCにメールを送りました。

――それで受かるとは、すごいですよね。

大井:「アジアの経済ニュースを発信しているシンガポールなら可能性がある…」と言われて、BBCに繋がることができました。そういう意味では、経済報道を選んだほうがいいよというアドバイスはとても的確だったなと感謝しています。

――とはいえ、いざ経済報道をやろうと思っても簡単ではないですよね。

大井:そうですね。ブルームバーグに入った当時は、日銀(日本銀行:日本国の中央銀行)ってみずほ銀行(日本の都市銀行)となにが違うんですか? とか、GDP(国内総生産)は聞いたことあるけど…というレベルで、先輩方もなんてやつを雇ってくれたんだと思っていらしたと思います。

でも、ゲストの方々や先輩のみなさんのおかげで、経済のイロハを初めて習うことができました。「経済は意外と、一般ニュースを動かしている要因なんだな」と少しずつわかってくると、自分の中でも親しみが沸いてきました。「デフレだ」と言われても、自分が買いたい靴の値段は下がった覚えはありませんと思いながら、自分の生活に繋げて調べるようになってようやく面白くなりました。

――確かに、靴やファッションに結びつけると入りやすい。

大井:そうですよね。特にBBCの場合、一般の視聴者が多いので、専門用語を使い過ぎると敬遠されてしまうため、自分の祖母にニュースを説明するように原稿を書きなさいと言われています。