おにぎりも1個200円が当たり前に(写真はイメージです)

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 コメの価格が下がってきた。農林水産省は全国のスーパーでコメの販売価格を調査し、基本的には毎週、平均価格を発表している。それによると昨年7月14日から今年5月10日までの期間、最もコメの平均価格が高かったのは昨年12月29日から今年1月4日までの週で5キロ4416円だった。だが、その後は徐々に右肩下がりを示し、5月4日から5月10日までの週は3742円まで下落した。(全2回の第1回/註:価格は全て税抜き)

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 昨秋は5キロ5000円台も珍しくなかった。新聞社やテレビ局といった大手メディアは今回の価格下落に注目し、「なぜ下がったのか」、「いくらまで下がるのか」といったニュースを配信している。

おにぎりも1個200円が当たり前に(写真はイメージです)

 消費者の関心が最も高いのは、やはり「いくらまで下がるのか」だ。一部のメディアは「ついに5キロ2000円台のコメが店頭に並んだ」と報じ、話題を集めている。

 一部の消費者は以前からXなどのSNS上で「コメは5キロ2000円台に下がらなければ買う気がしない」と投稿してきた。2020年代の初頭、コメ5キロの価格は2200円前後だった。

 長年続いた安値が農家を苦しめてきたのは事実だ。とはいえ、日本経済は2022年頃からインフレに転じた。物価高が消費者の財布を圧迫し、実質賃金は伸び悩んでいる。「5キロ3000円台でも高い」が消費者の本音だろう。

 そのため、多くの消費者が「マスコミは5キロ3700円台を『コメ価格の下落』と報じているが、それはおかしい。3000円台では依然として高い」と考えている。

 しかも3742円は、あくまでも平均値だ。内訳を見てみると、ブレンド米は3534円、銘柄米は3809円もする。消費者にとっては4000円台に等しい。とても安いとは言えない価格帯だろう。

「暴落説」が囁かれる6月

 だからこそ「コメ5キロが2000円台で売られた!」という一部の報道に注目が集まったわけだ。しかし実際のところはどうなのか、首都圏のスーパーを回っている関係者が言う。

「実は昨年の11月頃から、様々な“コメ暴落説”が飛び交ってきました。中でも代表的なものが『2025年の年末説』、『25年度の年度末説』、『26年6月説』の3つでした。そして多くの関係者が本命視していたのが『6月暴落説』です。来月になるとコメの民間在庫が210万トンを超える見込みです。これほど在庫が積み上がったのは、コメ価格の高止まりを消費者が嫌がったからです。多くの人がコメを買わなくなりました。そして過去の販売データを見直すと、2010年代にもコメの在庫が膨れあがり、価格が暴落した前例があるのです。さらに7月から超早場米が市場に出回ります。ただでさえ在庫が積み上がっているのに新米が流通すれば、当然ながら“コメ余り”は加速します」

 コメの卸業者は今、熾烈な“チキンゲーム”を繰り広げている。昨秋、卸業者は高値でコメを買い集めた。高値で買ったコメは高値で売り抜きたい──これが業者の本音であるのは言うまでもない。

4999円のコメも多い

「ところが高値では全く売れないためコメが積み上がり、倉庫に新米を置くスペースさえなくなってしまいました。仕方なく損を覚悟で値下げしたコメを“放出”しているため、コメの価格が徐々に下がっているのです。ただし、売り急ぐと暴落のリスクが高まります。卸業者は同業他社と“チキンゲーム”を繰り広げながら、どうやって暴落を防ぎ、どうやって在庫を減らすか、綱渡りの悪戦苦闘を続けているのです」(同・関係者)

 ところが、である。関係者によると「実際に首都圏のスーパーを回ってみると一部の報道に反して、コメの価格はそれほど下がってはいないことが分かります」と言う。

「『2000円台のコメが店頭に並んだ』との報道を見て、『そんな安いコメは見たことがない』と首を傾げた人も少なくなかったと思います。確かに5キロ5000円台のコメは消えています。しかし北海道の『ゆめぴりか』、新潟県の『コシヒカリ』といった人気の銘柄米を4999円で販売しているスーパーは決して珍しくありません。次に目立つのが新潟県の『こしいぶき』や岩手県の『銀河のしずく』を3500円前後で売っているスーパーです」

 かつて価格の安さからカリフォルニア米、台湾米、韓国米といった外国産米が注目を集めた。だが意外にも今は店頭で見かけることは少ないという。

2000円台のコメは特売品

「カリフォルニア米と台湾米は、ごく一部のスーパーが取り扱っています。前者は5キロ2780円と安いのに対し、なぜか台湾米は3400円台と割高感があります。韓国米は私の知る限り、影も形も消えてしまいました。こうした外国産米に対抗できる価格帯の国産米はブレンド米で、先日は埼玉県内のスーパーで複数原料米が3299円と2980円で売られていました」(同・関係者)

 ならば「5キロ2000円台のコメ」は誤報なのか──と言えば、それも違う。要するに、特売品として突然に出現するのだ。

「特売品として秋田県の『あきたこまち』を3080円で売っている都心のスーパーがありました。最近最も安かったのは、やはりブレンド米で2680円。価格もそうですが、売られていた場所にも驚きました。タワーマンションが乱立する東京の湾岸地帯にぽつんと建っている小さなスーパーだったのです。ただ首都圏を中心に展開している大手スーパーのコメは比較的、高い価格が目立ちます。いずれにしても『自宅から複数のスーパーを丁寧に回り、運が良ければ3100円から2900円のコメを見つけることができる』というのがリアルな実情ではないでしょうか」(同・関係者)

 コメの価格が徐々に下がっているのは、“日本人のコメ離れ”の影響が大きい。あまりにも価格が上がってしまったため、誰もコメを食べなくなってしまったのだ。

 第2回【「高くてコメが買えない」よりも深刻な「コメを食べない」問題…令和のコメ騒動がもたらした“コメ離れ”という悪夢】では、コメどころか小麦粉も食べなくなった日本人の実情をお伝えする──。

デイリー新潮編集部