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性自認が男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」の当事者が、戸籍での続柄欄の「長女」という記載を「第一子」などに変更することの許可を求めた審判

戸籍の「実父母との続柄」欄で性別が必ず明記される現状が「憲法に抵触する」と指摘する、画期的な司法判断が下されました。

■性別を記さない「第一子」などに訂正することの許可求め…

ノンバイナリーとは、性自認が男性/女性の二元的な枠組みにあてはまらないジェンダーを指します。

京都府本籍とする50代の当事者は、戸籍の「実父母との続柄」の欄に「長女」と記載されているものの、女性として扱われることに幼少期から違和感を抱いていました。

このため、戸籍での記載を性別を記さない「第一子」などに訂正することを許可するよう求め、京都家庭裁判所に審判を申し立てましたが、家裁は申し立てを却下。当事者は不服として、大阪高等裁判所に即時抗告していました。

■「男女いずれにも当てはまらない性自認を持つ国民の存在を前提とする表示方法定めていない現状」は「憲法に抵触し是正すべき」

大阪高裁(大島雅弘裁判長)は5月8日付けの決定で、「性同一性障害特例法による性別変更は、あくまでも二元的な性別を前提とするものであり、同法は、非二元的な性自認を有するノンバイナリーが抱える問題の解決のために、有効な手段を提供していない」と指摘。

そのうえで、「戸籍法の施行規則が、男性と女性のいずれにも当てはまらないジェンダーアイデンティティを持つ国民の存在を前提とする表示方法を定めていない現状は、LGBT理解増進法の基本理念に反していて、ノンバイナリーとそれ以外の性別不合の当事者との間に、無視できない取り扱いの差異を生じさせている。こうした現状は、法の下の平等を定める憲法14条1項の趣旨に抵触するものとして、是正すべき状態にあると考えられる」と断じました。

一方で、「申立人の戸籍における『実父母との続柄』欄を、その性自認に合致する形に訂正する道を開くことが相当だとしても、どのような記載に訂正されるべきかについては、現在の二元的な性別表記のあり方自体の見直しとともに検討することが必要。こうした見直しや具体的な制度整備は、国会の立法過程を通じて行われるべき」などとして、当事者の抗告自体は棄却しました。

■代理人弁護士「ノンバイナリーの法的承認への大きな第一歩」

当事者の代理人である仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)によると、戸籍での「実父母との続柄」の性別記載をめぐり、憲法に抵触すると指摘した司法判断は初めてだということです。

仲岡弁護士は、今回の決定について「男女どちらでもないノンバイナリーの人々の存在は、日本の法律上これまで見過ごされてきた。そういった人々を法が承認していない現状について、憲法の平等原則に抵触すると裁判所が明言したことは、ノンバイナリーの法的承認への大きな第一歩だ」と評価しています。

抗告自体は棄却されたため、当事者側は最高裁判所に特別抗告する方針です。