増え続けるインバウンド。その受け皿のひとつとして広がっているのが民泊。先月時点で、日本国内での民泊の届出住宅数は約4万件。そのうち9.4%の3749件が新宿区に集中、宿泊者と住民とのトラブルが相次ぎ、年間に1100件もの苦情が区に寄せられ、区議会でも度々、民泊が問題提起されていた。

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 これらを受け、新宿区議会議員の渡辺やすし氏は「国に対して民泊制度の見直しを求める意見書を今年3月に提出した」とし、新宿区議会が全会一致で、国へ意見書を提出した。

 賃貸物件での民泊運営の禁止、連絡先の変更など届け出義務を守ってない場合の罰則規定の設定、ごみ出しや騒音などの苦情が多発し、また区の指導にもなかなか従おうとしない事業者がいることなどを受け、管理業者の質の改善に向けた制度の見直しを訴えた。

 民泊に関しては、Xでは、「マンションの半分が民泊業者に。ゴミとか騒音で住みづらくなった」「トラブルはマナーではなく制度の問題」「住むなら民泊規制が厳しい自治体の方が絶対いい」などの声があがっている。

 旅を楽しみ、地域にお金を落としてくれるインバウンドなどの旅行者。トラブルを減らし、地元住民とウィンウィンになるためには、何が必要なのか。『ABEMA Prime』では、専門家、新宿区の渡辺やすし議員とともに考えた。

■激増する苦情と自治体の限界

 新宿区議会議員の渡辺やすし氏は、民泊を巡る大きな問題として「ゴミの不法投棄」「夜中の騒音」「誤訪問問題」の3つを挙げた。なかでも、「誤訪問問題」について、「民泊ではない普通の民家を民泊部屋と間違えて、夜中にチャイムを押したり、ドアのノブをガチャガチャと回したりする。夜中に知らない人が大勢で押し寄せてきてガチャガチャやられたら、中の人にとっては誤訪問なのか、下手したら強盗なのか分からない。これがものすごい怖いという声を、様々な住民の方から頂いている」。

 新宿区に全国の民泊の約1割が集中している現状に対し、「数が問題なのではなく、迷惑行為や苦情の数が問題だ。苦情が全くない民泊であれば、今の2倍、3倍、4倍と来てくださっても全然問題ないと思うが、苦情が来ているから問題なのだ。民泊に伴う苦情が、我々区議会が持っている問題意識だ」と主張。

 年間1100件以上の苦情が寄せられる中で自治体の対応には限界があるとして、「法律を変えて、国として民泊制度そのものへの規制を厳しくしてほしいという意見書を出した」との思いを明かした。

■運営現場から見る解決策の相違

 一方、全国12の民泊施設を運営する榊原啓祐氏は、「事業者から見た時に、騒音問題、ゴミ問題、間違えた訪問問題は、今回の意見書で提出している内容では解決しない問題だと正直思う。賃貸を禁止したからといって、大家さんがやったら一緒の話であり、この7つの提案では全く解決しないのではないか」と反論した。

 また、「もっと明確なルール化をすることの方が大事だ」といい、「例えば、騒音問題であれば騒音計を設置する、あるいは看板の設置を義務化する。その他にも、行政に届け出る際にチェックインマニュアルを提出し、本当にその部屋に間違いなくチェックインできるのかというルールを厳密に決める方が大事であって、賃貸禁止などは見当違いの内容ではないか」と投げかける。

 新宿区という土地柄については、「ルールを知らずにやっている方々がすごい多い印象だ。我々のお客様はほとんどが日本人だが、海外に住んでいる方々が運営しているケースなどでルールが共有されていないことが問題だ。規制をするのであれば、こちらの方をやるべきではないか」との見方を示した。

■業界の自浄作用と今後の展望

 渡辺氏は、意見書でも提出した「賃貸物件での民泊運営の禁止」について、「賃貸マンションは住む人のためのものであり、投資のためではない。新宿では新築のマンションが建つと、民泊で貸したほうが儲かるからと、民泊前提で部屋を買ったり賃貸契約を結んだりする。結局、住むためのマンションとして統計を出しているのに、蓋を開けたら全て民泊部屋になり、住みたい人が住めない。賃貸マンションを投資用に、民泊のために契約されてしまうのは問題なので、規制するべきだ」と補足説明する。

 これに対し榊原氏は、「悪質な事業者は排除していくべきだし、そのルールは制度強化していく必要があると我々も思っている。そこに関しては区の方々と連携してやっていきたい。我々も組合を作ってこの業界の関係を良くしていきたいと思っている」と一定の理解を示した。

 渡辺氏は「真面目な民泊事業者はたくさんいらっしゃる。ぜひ業界としてルール作りをして、悪質な業者を自分たちで締め出すような自浄作用のある制度をしっかりと作ってほしい。そうすれば、区議会も新宿区も真摯に対応しようと思っている」とした。

(『ABEMA Prime』より)