日高由起刀×杉田雷麟、『ばけばけ』で飛躍 制作統括も「好きにしてください」と絶大な信頼
髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
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第20週では熊本編に入り、松江中学でヘブン(トミー・バストウ)の教え子だった正木清一(日高由起刀)と錦織丈(杉田雷麟)が書生として松野家で暮らし始めた。
演じる日高と杉田は、オーディションで抜擢。制作統括の橋爪國臣が「あの2人だからこそできる」と太鼓判を押す逸材だ。
日高は2024年に主演映画『HAPPYEND』でスクリーンデビューし、「第38回高崎映画祭」最優秀新人俳優賞を受賞。2025年にはドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)の生徒会長役でたしかな存在感を示した。
そんな日高の芝居について、橋爪は「ある意味、すごく純粋でド直球なんです」と語る。
「とても勘がいいお芝居をしているイメージがあります。相手がしゃべったことに対して、反射神経がすごい。きれいに打ち返してくると言うんでしょうか。そんなお芝居をされる方で、とてもうまいと思います」
一方、杉田は子役から活動を始め、映画『半世界』で「第41回ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞、「第34回高崎映画祭」最優秀新進男優賞を受賞。現在はNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で大沢主水役を好演した。橋爪は、杉田の芝居を「彼自身が持っている独特の間がすごいんです」と評価する。
「他の人と違う空気感が漂っている。それはすごく稀有なことで、オーディションで見た瞬間に、『あ、吉沢(亮)さんの弟はこの子だ』と思ったくらいです。吉沢さんと似た方向性、似た空気感を感じる方だなと。吉沢くんと二人芝居をするシーンはこれからもありますが、すごくいいですね」
第5週で初登場して以来、細やかな芝居で物語を支え続けてきた2人。橋爪は「日高くんと杉田くんに関しては、『好きにしてください』と信頼して任せていました。彼らにとってこれだけ長く同じ人物を演じるのは初めてのことだったので、『長くやることを楽しんでね』と話をしながら、僕自身も楽しみにしていました」と撮影当初を振り返る。
「最初は学生役ということだけが決まっていて、将来どうなるのかがまだ見えていない段階でキャスティングしたんです。日高くんには、もしかすると(史実上の参考人物・横木富三郎と同じように)途中で結核で亡くなる可能性もあると話していて。結局、その案は早いうちにやめることになりました。杉田くんには、『吉沢さんと話を繋いでいくことになるので、そこまで作り上げてほしい』と伝えていました」
続けて、「トキ(髙石あかり)とランデブーをした小谷役の下川(恭平)くんがまずは目立ちました。彼の見せ場はあそこだったのですが、正木と丈はずっと出ているにもかかわらず、見せ場が熊本編以降になってくる。そこまで我慢して、ちゃんとキャラクターを作っていってほしいとお願いしました。今見返してみると、ずっといい芝居をしています」と期待に応えた2人に賛辞を送った。
正木と丈の登場シーンが次第に増える中、松野家では焼き網紛失事件が勃発。
橋爪は「史実ではハーンが泥棒の人情噺を書いているんですが、本物の泥棒というよりは、“人と人との関わり合いの中で、人間の心に気づく”という流れがこの物語には合うのではないかと思った」と狙いを明かし、「わかりやすくエンタメにしたかったので、正木の探偵の話を入れたりと、しょうもないことを楽しめる展開にしていきました」と話す。
『ばけばけ』らしさが前面に出た正木探偵の事件簿シーン。橋爪は「あのシーンはもう『自由にやってください』という感じでした」と笑い、「人が多いし、一人ひとりにセリフがあるので、撮影はすごく長くて大変だったと思います」とキャスト陣を労う。
「日高くんは前日からずっと緊張していて、『明日セリフが多いんだ、やばいやばい』と言っていたので、『頑張って』と笑いながら送り出しました。すごく追い詰められていましたけど、セリフを忘れることも、噛むこともなくやっていました。それでも、『長いよ、セリフが長いよ』とずっと言ってました(笑)」
演出は小林直毅が担当。会話だけの長いシーンをどう楽しませるかを考えた末に、再現VTRのようなスタイルを採用した。台本には焼き網を盗む方法のみが書かれており、実際の芝居はすべて「役者任せでした」と橋爪。「このキャラクターならどう焼き網を盗んでいくのか。その盗み方を、それぞれ役者さんたちが競い合うように演じていて、楽しかったです。演じる側は大変だったと思いますが」と笑みを浮かべた。
長い物語の中で少しずつキャラクターを育ててきた日高と杉田。次週、トキが「呪われる」という新たな展開に、どう関わっていくのか。その芝居に引き続き注目だ。(文=nakamura omame)
