パワハラ専務に「辞めるのはもったいない」と引き留められた男性、「僕の人生なので」と伝えて拒絶【後編】
働き方改革が進む昨今、時代に逆行する会社はいまだ多いのだろうか。投稿を寄せた都内の30代男性は、リーマンショック後の就職難のなか、ある会社への内定をつかんだ。しかし、その会社は例にもれず絶望的な環境だった。
特に頭を抱えていたのは「専務の横暴」と「現場の崩壊」の二つだ。
「『てめえ』『バカか』『言い訳にしか聞こえない』『大学出たのか』と罵声。わからないことを聞いても、とりあえず罵声」
「2トン車で配送中、積みきれないのに『昔はやっていた』との理由で過積載を指示。フォークリフトは無免許」
加えて基本給「10.5万円」という信じがたい労働実態を明かしたところまでは前編で紹介した通りだ。数々の苦悩に耐え忍んできた男性だったが、大型免許の取得を機に、ついに逆転劇を始める。(文:湊真智人)
引き留め工作→大手企業名を出すと「差別発言」
入社から5年経ったその日、男性は退職の意向を伝えた。するとそれまで罵声一辺倒だった専務の態度が一変。面談の第一声は
「新卒で入った会社を辞めてもったいないと思わないか」
というまさかの引き留めだった。
これに対し「僕の人生なので」とキッパリ断った男性だが、その後も執拗な慰留が続いた。
「営業同行や個別面談で『もったいないと思う』『同業他社に行くのか?』『どうしても辞めたい?』としつこく言われました」
しびれを切らした男性は、「大手企業に転職してトラックに乗る」と具体的な進路を伝えた。すると専務はあからさまな不快感を示し、こう吐き捨てたという。
「所詮、運転手だろ」
退職の意思が固いと見るや、明白な職業差別を行ったのだ。さらに人員が足りないことを理由に退職日の引き延ばしにかかったというが、男性も負けてはいない。冬のボーナスをきっちり受け取れる年末まで退職日を調整し着々と準備を進めた。
崩壊する現場を横目に大手へ転職「後輩が辞めるのを見に行くのが趣味」
男性は在職中、密かな「自衛工作」も行っていた。営業車に私物のドライブレコーダーを取り付け、パワハラの証拠集めをしていたのだ。専務と同乗の時は「発言に気を付けていたのが面白かったです」と、冷静に立ち回る余裕すら見せていた。
男性が去った後、現場は予想通りの結末を迎える。専務が強行した無理なコスト削減により、配送システムは崩壊。それでも専務は忘年会で「経費を削減した」と自画自賛のスピーチをしていたというが、それが社員に還元されることはなかった。
現在、男性は無事に大手企業への転職を果たし、安定した生活を送っているようだ。しかし話はこれで終わらない。男性は今でも年に1回ほど手土産を持って元職場を訪ねていると言い、その理由をこう書いている。
「先輩社員が残っているのに、後輩が入っては辞めてを繰り返すのを見に行くのが趣味」
やや悪趣味の感はあるが、それだけ男性はこの会社で“地獄”を見てきたのだろう。現在は安全なところから、どうなっているか観察したくなる気持ちもわかる。あのとき勇気を持って脱出したことは、人生最大の正解だったと言えるだろう。
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