’06年8月、皇太子ご一家(当時)はオランダ静養中、王室メンバーと馬車庫を見学された

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 天皇家の長女・愛子さまは、成年皇族に仲間入りしてから2度目の新年を迎えられた。

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「学習院大学文学部日本語日本文学科3年生の愛子さまは、今は学業優先ですが、公務にお出ましになる機会が日ごとに増えています」(皇室担当記者)

雅子さまにとって“ロールモデル”が

 即位を熱望する声も上がるが、現行法において愛子さまは皇位継承資格を有しない。
一方、ベルギーやスペインなどヨーロッパの王室には、愛子さまと同世代のプリンセスが数多くいる。オランダのアマリア王女もそのひとりだ。

「’06年8月に当時の皇太子ご一家がオランダで静養された際、愛子さまと手をつないでいた少女です。いわば“幼なじみ”のアマリア王女は、12月7日で19歳になりました。1年前に18歳の成人を迎えた彼女は、現在の君主であるアレクサンダー国王の長女。王位継承順位が1位の次期国王として注目されています」(現地ジャーナリスト)

 日本の皇室とオランダ王室の親交は深い。

「皇太子ご一家がオランダ王室から招待されて、同国での静養が実現。2週間の滞在で、療養中の雅子さまや愛子さまが“はじける笑顔”を見せられたのが印象的でした。
’13年4月には、アレクサンダー国王の即位式のため、皇太子ご夫妻が再びオランダへ。雅子さまにとって11年ぶりの海外公務となり、オランダ王室に対する感謝が感じられました」(千葉大学法政経学部の水島治郎教授、以下同)

 雅子さまへ「式に参列してほしい」と電話で懇願したのは、ほかならぬ同国のマキシマ王妃だったとも報じられた。

「アルゼンチン出身のマキシマ王妃は、’01年に王室入りが決まると批判を浴びました。彼女の父親が、アルゼンチンの元ビデラ大統領が率いる悪名高い軍事独裁政権下で、農業大臣を短期間務めていたことが問題視されたのです」

 人権侵害への加担は認められなかったものの、人権問題に敏感なオランダでは重大事として取り上げられた。

「彼女は逆風の中、アルゼンチンの軍事独裁を批判し、オランダ語を必死に習得。公務への積極的な姿勢も評価され、国民からの信頼を得ました。雅子さまにとっては“ロールモデル”のような存在で惹かれる点も多かったのでは」

 ’14年10月にアレクサンダー国王夫妻が訪日した際、雅子さまは11年ぶりに宮中晩餐会に出席された。当日の装いは、オランダ王室のシンボルカラーであるオレンジ色のスーツだった。

 日蘭の親しい交流を継承していくのが、次世代のプリンセスたち。アマリア王女には、2歳下のアレクシア王女と4歳下のアリアーネ王女という2人の妹がいる。

脅迫被害で学生寮に住めず

オランダ王室におけるキーワードのひとつに“人間らしさ”があります」

 そう話すのは、オランダ在住のライター・倉田直子さん。

「国民にとってオランダ王室は、敬う対象でありながらも、日本の皇室よりは親しみやすいポジションです。例えば、王室の公式ツイッターでは、王女たちが自転車通学する姿も投稿されています。国王夫妻が娘たちに対し、“なるべく一般の子どもに近い生活をしてほしい”と考えているのが伝わります」(倉田さん)

 小学校は地元の公立小学校に通うなど、のびのびと育てられた王女たち。長女のアマリア王女は昨年9月、王室と密接な関わりを持つライデン大学ではなく、首都にあるアムステルダム大学に入学した。

「進学に伴って王女は、国王一家の住まいであるハウステンボス宮殿があるハーグを離れ、ほかの学生とともにアムステルダムの学生寮で暮らす予定でした。しかし、入学から間もないうちに宮殿に戻っていることが明らかに……。

 親元を離れたはずの王女が実家に帰ることを余儀なくされた理由について、詳しいことは明かされていません。ただ、誘拐や襲撃の標的になるという“脅迫被害”から警備が強化されたと報じられました」(前出・現地ジャーナリスト)

 10月中旬、マキシマ王妃は、王女の近況について記者会見でこう説明した。

「宮殿から出ていません。アムステルダムに住めないこと、外に出られないことは彼女の人生に大きな影響を及ぼします。(中略)自分の子どもがそういう生活をしているのを見るのはいいものではない」

 翻って日本では、愛子さまが感染対策の観点からオンライン授業を継続中。理由は違えど、思うようにキャンパスライフを送ることができないアマリア王女に思いを馳せておられることだろう。

愛子さまは、成年行事に用いるティアラを新調せず、叔母の黒田清子さんから借用する判断をされました。実はアマリア王女も、18歳になると支給される年間2億円ほどの王族手当の受け取りを、学生でいる間は辞退しています。皇室や王室の特権に対し、世間から厳しい目が向けられる昨今の情勢を、お二方は酌んでおられます」(水島教授)

伝記に書かれた本音

 コロナ禍を機に、オランダ王室の支持率は低下した。

「’20年10月、感染対策のため国民に自粛を呼びかけている中で、国王一家がギリシャへ旅行に出かけました。’21年12月には、アマリア王女が自宅に20人近く友人を招いて、自身の誕生日会を開いたことも批判の的に。

 オランダでは当時“自宅に招待できるのは4人まで”というルールがあったのですが、王室がそのルールを破ったことを認める事態となったのです。こうした行動に疑問を持つ国民は多く、’20年には75%あった君主制への支持が、翌年には57%まで急減しました」(倉田さん)

 未来の王室を背負うアマリア王女にとって、支持率低下は大きな不安材料に違いない。

オランダ王室のメンバーは18歳の成人に際して、伝記を出版するのが伝統です。アマリア王女の伝記には“まだ君主になる心の準備ができていない”という本音や、王政を廃止する可能性について“受け入れることができる”という見解が盛り込まれていた。自由な環境で育てられたぶん、これから次期国王としての期待が強まっていくことに戸惑いがあるようです」(前出・現地ジャーナリスト)

 “将来の女王”の前途には暗雲が立ち込めている。

水島治郎 千葉大学法政経学部教授。オランダ政治史を専門とし、『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』など著書多数

倉田直子 オランダ在住ライター。2004年に映画ライターとして活動開始。2008年の海外移住を機に海外情報を発信するライターに転身