保険料控除の社名記入欄、確かに狭い...(赤枠は編集部によるもの)

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年末が近づき、「年末調整」の書類とにらめっこしている会社員も少なくないだろう。そうした中、インターネット上には、ある生命保険会社を利用している会社員から戸惑いの声が寄せられている。

ある会社とは、9月に社名が変わったばかりの「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社」だ。狭すぎる記入欄に、社名が収まりきらないという。

「10文字以内で入力してください」

年末調整の際、生命保険などに加入している人は「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」を提出する必要がある。これに支払った保険料などの必要事項を記入し、保険会社から送られた控除証明書を添付すると控除が受けられる。書類を提出しないと、会社が保険料控除を考慮せずに税金を計算してしまうため、後日確定申告をしなければならなくなる。

内容自体は難しいものではない。問題は記入枠のサイズだ。「保険会社等の名称」という欄のサイズは、保険契約者の氏名を書く欄とほぼ同じ。氏名なら長くても6〜7文字で収まりそうなものだが、保険会社名によっては10字以上になるケースも少なくない。

とりわけ苦戦を強いられているのが、「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社」の利用者たちだ。

同社はもともと、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命が合併し「NKSJひまわり生命保険株式会社」として2011年10月に誕生した。だが14年9月、損害保険ジャパン日本興亜の発足に伴い、現在の社名に商号変更。16文字だった社名は22文字になった。

同社のホームページに掲載されている保険料控除申告書の見本には「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」と書かれている。「株式会社」を取ったとしても、ぎゅうぎゅう詰めになるのは必至だ。そのためインターネット上には、

「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険会社から保険控除のお知らせ来たわ...書くの面倒くさい」「こんな狭いスペースに『損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社』と書かなければならないなんて。年末調整のことを考えて社名変更してくれ」

といった声がいくつも上がっている。

年末調整をWeb申請したという人は「保険の控除申請で会社名を入れたら『10文字以内で入力してください』と赤字でエラー。会社名:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社 (22文字)」と、どうにもならない状況を報告していた。

公式略称はないものの、正式名書く必要なし

とはいえ、保険会社名を書く欄に正式名称を書かなければならないという決まりはない。都内の税務署の担当者も「証明書の添付もありますし記入欄も狭いですから、社名は略しても構いません」と説明する。

つまり、アメリカンファミリー生命保険会社(16文字)は通称の「アフラック」、最も長いと思われるプルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社(28文字)は略称の「PGF生命」と書けばいいというわけだ。公式の略称がない場合でも、その会社を指していることが分かればいいのだから、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険ならば「ひまわり生命」といったところだろうか。

ちなみに、同社に略称はあるのだろうか。広報担当者に聞いてみたところ、次のように答えた。

「NKSJひまわり生命保険という以前の社名は、どこの(傘下の)会社から分からないという意見が多数あり、今回の社名変更によって認知度は飛躍的に向上しました。SJNKなどと略すとまた元に戻ってしまう。そうした事情もあり、略称は設定しておりません」

確かに、代表電話の担当者も「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険でございます」と応じていた。

年末調整時の記入について、広報担当者は「(社名が長いことで)ご迷惑をおかけしていることは、申し訳なく思っております」とコメント。利用者からどのように書くべきかなど問い合わせがあった場合は、個別に案内しているという。