(『風、薫る』/(c)NHK)

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日曜劇場『下剋上球児』やギャラクシー賞を受賞した『宙わたる教室』など話題作への出演が続く俳優の小林虎之介さん(28)。放送中の『風、薫る』(主演・見上愛、上坂樹里)で、連続テレビ小説初出演を果たした。田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)を原案に、看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマ。見上さん演じる一ノ瀬りんの幼なじみ、竹内虎太郎を演じている。一途にりんを思い続ける虎太郎は視聴者の印象に残り、SNSで話題に。4月9日放送の第9回では、婚家を出てきたりんと娘の環を助け、東京へと逃がした虎太郎。小林さんに作品の魅力や虎太郎役への思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

【写真】りんとはお互い思い合っていたはずだったが…

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“朝ドラ”初出演

連続テレビ小説は、歴史のあるドラマ枠で幅広い世代の方に視聴していただけます。出演が決まった時は、素直にうれしかったですね。僕の名前は「虎之介」なので、演じる「虎太郎」とは虎の字が一緒。縁を感じる部分もあれば、恥ずかしいという思いもあって。『風、薫る』が放送されて、今後は僕の名前は役名の虎太郎と間違えられる機会も増えるだろうなと思っています。(笑)

虎太郎は、まっすぐでピュアな部分が魅力。汚れた部分もありません。まっすぐな部分は自分に似ています。監督からは、明治を生きる精悍で強い男性を演じてほしいと言われました。栃木ことばは、イントネーションの上げ下げが難しいところもあるけれど、しゃべっていてすごく楽しい言葉です。

毎週月曜にリハーサルがあるのは連続テレビ小説ならでは。主人公を演じる見上さんと上坂さんは特に大変だなと思います。舞台が明治時代なので、所作や喋り方に現代劇とは違った制限があり、どういう動きが正しいのかわからなくなってしまう。現代劇の時より動きが縮こまってしまうので、お芝居を作っていく段階で所作指導の先生方からいろいろと教えていただき、勉強になりました。きちんと指導を受けて明治時代の人物を演じるのは初めてなので、自分の未熟さを改めて感じています。これから時代劇に参加することもあると思いますし、歴史の勉強にもなっているので出演できてよかったです。

りんは優しくて素敵

<虎太郎は、元足軽の竹内家の長男で、りんの幼なじみ。元家老の娘であるりんを一途に思い続ける青年だ。りんが、虎太郎との結婚を想像した場面もあり、2人は思い合っているように見えた。しかし、りんの父・信右衛門(北村一輝)がコレラで死去。一ノ瀬家の生活が苦しくなるなか、りんに18歳年上の商人・奥田亀吉(三浦貴大)の後妻の話が舞い込んだことをきっかけに2人の人生はすれ違っていく。第5回で虎太郎が、りんの手を握り「りんは俺の姫様だから」と伝えると、りんは握られた手を静かに払いのけ、さみしそうに微笑むだけ。家のため、りんは奥田家に嫁ぐことを決めたのだ>

りんは、つらい状況にある人を守り、助けたいと思う気持ちが強い女性。思うだけではなく、行動を起こせるりんは、本当に優しくて素敵です。

虎太郎は、常にりんのことを考えて行動してきました。虎太郎は元足軽の息子で、りんは元家老の娘。ですが、りんと2人でいる時には、虎太郎は身分の差を意識してはいません。ただ、周りから見たら、自分たちがどう見えるのかと客観的に考えて、引け目を感じた瞬間はあったと思っています。

りんに思いを打ち明けるシーンの台本を読んで、視聴者のみなさんをキュンとさせないといけないなとか、考えながら現場に向かいました。これほど男女の恋愛要素のある役の経験がなかったので、不器用さを出すのか、緊張感が伝わればいいのか。男らしさを出すなら手を握ろうかなとか、どうしたらいいのか試行錯誤しました。

虎太郎の言葉を聞いても、りんは何も言わず、ただただ振られたみたいな感じになりました。告白のタイミングが良くなかった。日が違えば、りんと結ばれていた世界線もあったと感じました。

りんへの告白シーンは恥ずかしくてまだ映像を見ていないんです。ドラマに出ている自分を見るのが恥ずかしくて「大丈夫かな?」と怖くなってしまうタイプ。放送や完パケはもともとあまり見ません。

虎太郎がかっこよかった

<奥田亀吉は、一代で財を成した人物。学のあるりんにコンプレックスがあり、りんへの態度は冷たい。娘・環が生まれても夫婦仲はうまくいかず、ある晩、激昂した亀吉がよろけ行燈にぶつかってしまう。倒れた行燈から火が出て、屋敷が火事に。騒ぎに乗じて、りんは環を連れて母親の美津の元に逃げ帰る。美津の家に奥田家の火事を知らせに来た虎太郎は、りんと再会。虎太郎はりんと環を東京に逃がし…>


(『風、薫る』/(c)NHK)

小さい時から同じ村で過ごしてきて、りんをお嫁さんに迎えたいという気持ちも多分ありました。でも、りんは結婚してしまった。婚家から逃げ出したりんと環を助けた時には、虎太郎は「りんの旦那さんになる」ことはあきらめていたんです。それでも、好きな女性が苦しんでいるから助けたいという一心だった。恋愛感情というよりも「大切な人だから守りたい」という感情が強かったと思っています。

荷車にりんと環を載せて走り、船で逃がしました。自分は東京に行けないという悔しさを感じつつ、りんに東京で頑張ってほしいし、奥田屋から離したい。奥田屋の追手が来たら戦うつもりでいたと思います。これまででいちばん男らしいシーンで、虎太郎、かっこよかったですよ。

見上愛は頼りになる座長

りんを演じる見上愛さんは、本当に器用で、演技のスイッチが入るとパチンと切り替えができます。同世代の俳優としてすごく刺激を受けました。りんが、自分の言動を後悔して泣き崩れるシーンが印象に残っています。スタジオのモニターで見上さんの演技を見ていて、「すごい」と感動しましたし、「いいドラマになるな」と思いました。

主演は大変なことも多いはずなのに、僕が撮影でお邪魔する時にはいつも現場に笑い声がある。見上さんはたくましい座長であり、元気ですごく強い人です。栃木ロケでみんなが虫に刺されてしまった時、見上さんは、全員分の塗り薬を持ってきてくれました。「この年齢でこんなに配慮できるんだ」と頼もしく思いました。


(『風、薫る』/(c)NHK)

りんと虎太郎は幼なじみという間柄。見上さんとはちょこちょこおしゃべりをしていますが、そんなに幼なじみ感を出そうと何かしているということはありません。僕、ダメ人間なので、あまりしゃべらない方がいいって思っています。りんと虎太郎は恋愛がらみの関係なので、残念に思われたら見上さんがお芝居をやりにくいんじゃないかって。

一ノ瀬家の人たちは、本当の家族のように仲良くなっていて、僕は最近、ちょっと置いていかれたような気分にもなっています。美津役の水野美紀さんは、お人柄も素敵でお芝居もユニーク。助けられています。信右衛門を演じた北村一輝さんは、作品によってはちょっと怖い役を演じることもありますが、現場では虫がすごく苦手で、かわいらしい一面が多々ありました。ギャップが素敵でした。

「島田に勝ちたい」

<りんと環は東京に行ってしまい、虎太郎は那須に残った。2人の関係はどうなるのか。今後の虎太郎の登場シーンが気になるが…>

女性が自分の力で稼いで暮すことが難しい時代。りんは、女手一つで子どもを育てないといけない状況になりました。第1〜2週では、りんが看護の道を見つけて、社会に立ち向かっていくきっかけが描かれたと思っています。

『風、薫る』の公式SNSでの投稿で、気になるキャラクターを聞かれた時には、佐野晶哉さん(Aぇ! group)演じる島田健次郎と答えました。島田は、東京でりんと出会う青年で、りんのよき相談相手になっていく人物。この先、虎太郎と島田は出会うことになります。島田が虎太郎の恋敵になると聞いていたので、島田と答えました。

現場ではスタッフさんの間で、「視聴者は島田派と虎太郎派に分かれるだろう」と話題になったことがあって。虎太郎が勝つ意気込みで撮影に臨んでいますが、何せ、佐野さんはアイドルなので、厳しい戦いになるだろうなと思っています。(笑)