世界初!3Dプリンターで″駅舎″出力90分、組み上げ2時間!? 建築業界の課題に挑む
熊本県水俣市にある町工場が、世界で初めて、3Dプリンターの駅舎を作りました。
【写真を見る】世界初!3Dプリンターで″駅舎″出力90分、組み上げ2時間!? 建築業界の課題に挑む
立尾電設 川島一友さん「日本ではここだけにある、最先端の機械になっています」
人材不足、資材価格の高騰を打破する、革新的な建築に迫ります。
JR西日本初島駅(和歌山県)
和歌山県のローカル線の無人駅。
ここに一際目を引く駅舎があります。
特産のみかんをモチーフにした装飾、白を基調とした外観が特徴です。
実はこの駅舎、世界で初めて3Dプリンターで作られた駅舎なのです。
和歌山の地元住民「身近なところに世界初ってあるんやなと思いましたけどね」
和歌山の地元住民「誇りに思うっすね、やっぱ地元なんで。そういうのがあっていんな人が駅に来てくれたらいいなと」
ニューヨークタイムズでも取り上げられ、全国の撮り鉄の聖地になっています。
建設業ではない会社が作った?
この駅舎を出力したのが、熊本県水俣市の「立尾電設」です。
建築業ではなく、電気設備が本業。普段は電気工事や消火設備の点検をしています。
その工場に導入されたのが、建築用3Dプリンターです。建築のノウハウがない会社が、なぜ3Dプリンター駅舎を作ったのでしょうか?
3代目社長が明かす建築業界への思い
3代目社長の永田士朗さんです。
建築業界に対して、外側からある思いを抱いていました。
立尾電設 永田士朗 社長「建築をやりたいという気持ちは、実は以前からありまして。とはいえ、本業の方が設備工事なもんですから、簡単には参入できないなと、ある意味諦めていた部分もあったんですけども。プリンターで製作するということ、既存の工法にとらわれないということなので、新規参入しやすいのかなというところに着目して、まずスタートしました」
建築業界の課題に3Dプリンターで挑む
人手不足や資材価格の高騰、建築業界が抱える課題は全国共通です。
3Dプリンターによる出力が、その常識を覆す可能性を秘めています。
永田士朗 社長「木造であれば、木の切り出しからプレカットから、それで職人さんたちが手で建てていくという流れを、基本的に機械がすべて行うと」
日本唯一の最先端機械
これは立尾電設に導入された3Dプリンターです。
川島一友さん「日本ではここだけにしかない、最先端の機械になっています」
日本ではどこも扱ったことがないオランダ製。建築の経験がなくても、同じスタートラインに立てたのです。
さらに、立尾電設が培ってきた、海外製品を扱う上での電圧や仕様の違いを読み解く専門知識が役立ちました。
3Dプリンターは、建築材料のモルタルをアームの先端から出力し、生クリームを重ねるように外壁を形作っていきます。出力にかかる時間はわずか90分で、あとは自然乾燥を待つだけです。
短期間・少人数で、巨大な構造物の出力を可能にしています。
駅舎の組み立てわずか〇時間
この工法を採用したのがJR西日本の初島駅。鉄道工事は夜間の限られた時間で行う必要があります。出力された状態で組み立てる3Dの駅舎はうってつけです。
駅舎一棟をわずか4つのパーツで組み立てます。作業は6時間の予定が2時間で完了しました。コストは在来工法の半分です。
永田士朗 社長「もう完成した時は感無量ですよね。携わったスタッフたちもですね、本当に安堵したと」
3Dプリンター建築は、駅舎以外でも様々な建物の需要があります。
デザインとワクワク感
永田士朗 社長「プログラムでいろんな形状が基本的にはできますので、在来工法と比較すると、お客さんの要望に、より建物を近づけられるのかなと」
岡山県の山間部に建つ球体の建物も、水俣の工場で出力されたものです。この女性は別荘として使うために、3Dプリンターのミニ規格の住宅を購入しました。
吉本実代さん「自分でも買える値段かなっていうので、330万円ですね。こういう丸い球体の建物っていうのが、やっぱり珍しいというか。デザインとワクワク感」
建物を「出力」する。
熊本から生まれた、革新的な建築の形です。
