RIP SLYME ラストライブで見届けた5人の勇姿 噛み締める歓喜と寂しさ、ファンと交わし合った“マタ逢ウ日マデ”
昨年4月、オリジナルメンバー5人での活動を期間限定で再開したRIP SLYME。活動休止に入る前のラストライブ『RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE - Final Three Nights -』が、3月20日・21日・22日、TOYOTA ARENA TOKYOで開催された。内容が少しずつ異なり、多彩なゲストを迎えた各公演は、連日大盛況。代表曲の数々とレアな選曲を交えながら、豪華コラボレーションも繰り広げられた。3公演の最終日、メジャーデビュー記念日でもあった3月22日の模様をレポートする。
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スクリーンに表示されカウントダウンの数字が「30」になった辺りで一斉に立ち上がった観客。オープニングムービーを経て、RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAのシルエットが見えた瞬間、地響きのような歓声が会場を震わせた。そしてオープニングを飾ったのは、5人での活動再開の幕開けでもあった曲「どON」。ターンテーブルからビートを繰り出すFUMIYAの前方でRYO-Z、ILMARI、PES、SUがラップを交わし合う姿から片時も目と耳を離せない。声質、フロウ、言葉選び、ビートの乗りこなし方など、あらゆる点で個性がまちまちのラップが一体となった時、ものすごいエネルギーが生まれることを改めて強烈に実感した。続いて「STEPPER'S DELIGHT」「雑念エンタテインメント」「GALAXY」「チェッカー・フラッグ」「熱帯夜」……お馴染みのナンバーの合間に少しマニアックな「チェッカー・フラッグ」も交える選曲が面白い。観客はすっかり夢中になっていた。
ゲストのchayが登場したことによって生まれた一際の熱気。「一緒に跳ぶぞ!」という煽りの言葉を浴びた観客が全力のジャンプを続けて興奮を露わにした「JUMP with chay」の時点で、会場内の気温は開演直後よりもかなり上昇していたはず。そして迎えた最初の小休止。RYO-Zが観客に語りかけた。「我々、RIP SLYMEは25周年。そして活休前。活休と言ったって、しんみりするのは似合いませんので、しっかり最後の最後までド派手なパーティーで行きたいんですけど、お付き合い願えますか? 『知らない曲があっても知ったふりしろ』ですから。どんな曲でも『やっぱこれだよなあ』みたいな形でお付き合い願えますか?」――この言葉に応える空間が、その後も完璧に作り上げられていた。FUMIYAの鮮やかな2台のターンテーブルさばき+4人のラップのコンビネーションによって、彼らの原点にある表現スタイル、RYO-Zの表現を借りるならば“最もシンプルで、最もプリミティブなヒップホップ”が示された「By the Way」が起爆剤となり、その後に続いたのは「ミニッツ・メイド」「気の置けない二人」「SLY」「SPASSO」「Bubble Trouble」。コアなファンも唸る瞬間が度々あったのが想像される選曲だった。
「今日はこの曲でブルブル震えてください。在日ファンクのみなさんです!」――RYO-Zの紹介でステージに招き入れられた在日ファンクの “ハマケン”こと浜野謙太(Vocal)、橋本剛秀(Saxophone)、村上基(Trumpet)、ジェントル久保田(Trombone)。ジェームス・ブラウンが憑依したかのようなハマケン、華やかなホーンセクション、RIP SLYMEの共演による「Vibeman feat. 在日ファンク」は強烈だった。高濃度のファンキーサウンドを浴びながら踊り続けた観客は、完全にトランス状態。エンディングを迎えた時、すさまじい熱気が会場内に漂っていた。そして再び迎えた小休止。開演前に流れていたBGMは、FUMIYAが18歳の時に作ったミックステープである旨を語ったRYO-Zは、「その頃からこの仕上がり。すばらしいですよね」と称賛し、PES、SU、ILMARIも観客に紹介。「時代が生んだ悲しきヒップホップモンスター」とメンバーたちに呼ばれたRYO-Zの「メジャーデビュー25周年ですけど、RIP SLYMEという名前での活動は30年以上。長い付き合いの私たちです!」という言葉は、いろいろありつつもこうしてステージに5人で立てることへの感慨を滲ませていた。
「STAIRS」「黄昏サラウンド」「One」も届けられた直後のMCタイム。5人で再始動した昨年4月から現在に至るまでの日々を彼らは振り返った。23本の音楽フェス、ツアー、生バンドでのクリスマスライブ、KICK THE CAN CREW、Dragon Ash、Creepy Nutsとの2マンライブ……SUはDragon Ashを「僕たちの恩人」と言い、とても感謝していた。6組が出演したDragon Ash主催のツアー『TMC(Total Music Communication)』が、RIP SLYMEのメジャーデビューに繋がったのだという。「この1年全部が本当に良かったです。今日もめちゃくちゃ楽しい!」と笑顔を浮かべたILMARI。サンプリングしたばかりのILMARIのMCの一部「良かったです」を連打するプレイで観客を盛り上げたFUMIYA……そんなMCタイムの中、一番制作が大変だった曲として「楽園ベイベー」が挙げられたのが興味深かった。この曲は使用していたサンプリング音源の使用許諾が下りず、急遽FUMIUAが3日間でトラックを作り直したのだという。「曲はみなさんの前で歌って初めて、ようやく形になるものなので、みなさんとの共有財産だと思ってます」というPESの言葉も思い出される。真剣に音楽に向き合い続けてきた彼らの軌跡も感じるひと時だった。
「ここから終わりまで、ものすごいパーティーになりますけど、大丈夫ですか? パーリーピーポーになれますか?」というRYO-Zの言葉を聞いて、次の曲が何なのかを察した観客。激しいコール&レスポンスを導火線として突入した曲は、「パーリーピーポー」だった。「パーリーピーポー(Hosted by VERBAL)」としてリリースされた曲なので、「あの人が来る?」と期待した観客がいたはず。VERBALが登場した瞬間、ものすごい歓声が沸き起こった。カラフルな羽飾りを着用したサンバダンサーチームも加わり、完全にカーニバル会場と化したステージ。VERBALの切れ味抜群のラップも冴えわたり、ブラジルの人々も羨むに違いない陽気なパーリー空間が作り上げられていた。
「BLUE BE-BOP」「Watch out!」「Wacha Wacha」「Good Day adidas Originals remix by DJ FUMIYA」「Good Times」「楽園ベイベー」「JOINT」……その後も盛り上がりの限界突破が怒涛の勢いで重ねられた。爆発的な歓声が客席の全エリアから上がっていたのは、「FUNKASTIC BATTLE ~RIP SLYME vs HOTEI~」。ビートを抜群に利かせつつエモーショナルなフレーズを連発する布袋寅泰のギタープレイとRIP SLYMEのコラボレーションは、まさしく“BATTLE”という言葉がふさわしかった。ラップ、DJプレイ、ギターの火花の散らし合いによって魔改造、スリリングなチューンナップが施されていた「FUNKASTIC」。演奏が幕切れてからハグを交わした布袋とRIP SLYMEの5人は、眩しいくらいの笑顔を浮かべていた。観客も大喜びだったが、彼らも堪らないほど楽しかったのだと思う。
本編は「Dandelion」で締めくくられたが、歓声に応えて始まったアンコール。ステージに戻ってきた5人は、感想を語り合った。ライブ初日は精彩を欠くことが多いのだというRIP SLYME。しかし、今回は3日間全部に手応えがあったらしい。「JUMP」のエンディングで過去一番のジャンプをした際、ふくらはぎが攣ったのを明かしたFUMIYA……そんなエピソードでも25年間の年輪を感じさせた後に披露された「Super Shooter」は、掲げた腕を揺らして全力で盛り上がる観客の姿が、とても美しい風景を作り上げていた。そして、「5人はバラバラで、性格がめちゃくちゃ違う。全ての方たちの応援で今日を迎えられてます。そんなすばらしい君たちにもう1曲だけよろしいでしょうか? RIP SLYMEでした。25年、ありがとうございました!」――5人を代表してRYO-Zが挨拶。「Wonderful」が届けられた。華やかなサウンドがウキウキさせてくれるが、終演が近づいてきたのも感じて寂しくなってくる。発射された金テープが観客に降り注ぎ、迎えたエンディング。リフトで下降しながらステージを後にした5人を全力の拍手が見送った。
アンコールは終了したが、彼らともう少し一緒に過ごしたい。そんな願いを込めた手拍子と歓声が続いた。すると5人が再登場。お揃いのツナギを着ているのが、メジャーデビューした頃を思い出させる。そして届けられたダブルアンコールの曲は「マタ逢ウ日マデ」。イントロが始まるや否や軽快な手拍子が起こり、ステージと客席の間で明るいエネルギーが交わされていった。寂しいのは当たり前だが、やはりRIP SLYMEのライブには笑顔が一番よく似合う。幕切れた直後、ハグを交わし合ったメンバーたちを特大級の拍手が包んだ。「お互いに元気だったらまたどこかで! RIP SLYMEでした!」とRYO-Zが言い、リフトで下降しながら5人が振った掌が完全に見えなくなった時、「活動休止に入ってしまった……」と実感。しかし「やっぱりRIP SLYMEは、かけがえのないグループ」と心の底から思えたのが嬉しい。次に会えるのがいつになるのかはわからないが、また彼らのライブを観たいと強く思った。
(文=田中大)
