【専門家分析】大阪・梅田で『巨大鋼鉄管突出』考えられる2つの原因は「地下水圧の浮力」「土との摩擦」 巨大パイプなぜ隆起?軟弱地盤は理由ではない?新御堂筋の通行止め続く【解説】
専門家「見たことも聞いたこともない」
3月11日朝、大阪・梅田の高架下に突如現れた「巨大な鋼鉄管」。地中からせり上がって地面を突き破り、一時は約13mの高さにまで達していました。
【タイムラプス画像】少しずつ少しずつ…高さが下がっていく新御堂筋の「巨大鋼鉄管」
その後、突き出した部分に穴をあけて中に注水する復旧作業がスタート。鋼鉄管は徐々に地中へと沈み、1.6mの高さまで下がっています(12日16時ごろ)。
専門家ですら「見たことも聞いたこともない」という事故。原因として考えられる2つの理由とは?復旧はいつになるのか?日本大学・森田弘昭特任教授、近畿大学・米田昌弘名誉教授に聞きました。
現場周辺では“パイプ型の池”を作る工事「穴を掘ってモグラみたいに…」
大阪・キタの中心地で起きた前代未聞の事故。大阪市建設局によると、現場周辺の地下では「雨水貯留管の築造工事」が行われていました(工期:2024年3月~2027年3月)。
これは、大阪駅周辺地区の浸水を防ぐため、すでにある「下水管」の下に、一時的に雨水を貯める「貯水管」をつくる工事です。
2か所に穴を開けて、その穴から地下に管(貯水管)を通す…いわば「道路下に“パイプ型の池”を作る」方法で、大都市では一般的な工事だと言います(近畿大学・森田弘昭特任教授)。
こうした工事のスタイルは梅田界隈の街の特性が関係しているようです。
(日本大学・森田弘昭特任教授)
「大阪みたいに地上にたくさんの建物があって自動車交通の多いところでは、上から穴を掘って、横にモグラみたいに掘っていく」
直径「約3.5m」長さ「約30m」…そのうち13mが地表から突き出る
今回突き出た鋼鉄管は、既にある下水道管と工事中の貯水管をつなぐためのものです。
<雨水貯留管の築造工事>
地面
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既にある「下水管」
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下水管・貯水管をつなぐ「鋼鉄管」←地表に突出
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築造予定の「貯水管」
管は直径は約3.5m・長さ約30mで、そのうち約13mが地表から顔を出しました。
なぜこれだけ巨大な管が突然、アスファルトを突き破って隆起したのでしょうか。
【考えられる理由1】地下水の水圧の浮力で上がった?
なぜ鋼鉄管は突き出たのか?大阪市は「原因調査中」としていますが、専門家は2つの理由が考えられると言います。
1つ目が、前日に行われた「排水作業」。地中に埋まった鋼鉄管(筒状)の下部をコンクリートで蓋をするように固めて“重り”にして、管の中に溜まった水を上から抜いたところ、地下水の水圧の浮力で鋼鉄管が上がってしまった可能性があるそうです。
森田特任教授は「本来はコンクリートの重さと浮力を計算して設計するもの」「このような事例は聞いたことがない」といいますが、今回の事象では地下の水位・水圧が想定外だった可能性があるということです。
1998年には、和歌山で直径3mの鉄管が地上2m以上突出。この事故も、地下水の浮力が原因だと言われていました。
【考えられる理由2】ツルツルの鋼鉄管 「固着剤」注入せず“摩擦”が働かなかった?
考えられる2つ目の理由が、「鋼鉄管の材質」。突出した管の表面を見るとツルツルしているため、土の部分と“摩擦”が働かなかった可能性があると言います(米田昌弘名誉教授)。
水を抜く前に土と鋼鉄管の間に「固着剤」を注入することがあるそうですが、大阪市はこの固着剤を「入れない」判断をしたようです。
<大阪市の説明>
▼「掘り進める際に鋼鉄管と土の間に隙間があれば入れる」
▼「今回は土の圧で固定されるため固着剤は入れないと判断」
固着剤が注入されなかったことで、管がツルツルとせり上がってきた可能性が考えられます。
梅田は軟弱地盤だが…「どの場所でも起こり得る」今後の教訓は?
もともと湿地の埋め立て地だった梅田。その地盤の軟弱さは“技術者泣かせ”だと言われていますが、米田名誉教授は「地震が起きれば液状化しやすいが、地盤が理由で今回のような事故が起きるわけではない」と言います。
今後の教訓として、専門家は
「頻発する事故ではないと考えられるが、地盤調査や地下水位の確認が重要」(森田特任教授)
「どの場所でも起こり得る事故。工事のルールなど見直しが必要」(米田昌弘名誉教授)
と述べています。
今後全てが地中に埋まることはない…?地面と平行になるよう「カット」へ
では、復旧はいつになるのでしょうか?
12日16時現在、鋼鉄管は1.6mの高さまで下がっていますが、今後全てが地中に埋まることはないと専門家は指摘。上にせりあがった分、下にできた空洞に周りの土が入り込み、上から押しても下がらないのではないかといいます。
せり出した部分については、地盤の安定が確認されたあと、地面と平行になるようにカットする必要があるということですが、工事の長期化が予想されます。
交通規制(12日午後3時時点)
現在の交通規制は次のとおりです(12日午後3時時点)。
<進入禁止>
▼北行き
西天満 → 曽根崎東
曽根崎東 → 鶴野町北
▼南行き
豊崎4西 → 曽根崎東
曽根崎東 → 西天満
(2026年3月12日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
