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これだけAIだらけなのに!?

Meta、Amazon、Google、OpenAIといった大手テック企業は昨年、AIへ数十億ドルを投資。そして今年はより強化されたモデルを訓練・運用するための新たなデータセンター建設のため、さらに約7000億ドル(約108兆5000億円)が投資されると見込まれています。

巨額のAI投資

これだけの投資額を見ると、大規模投資がアメリカ経済を支えているだけでなく、経済成長もさせているというのは一目瞭然です。

トランプ大統領も、「AIへの投資がアメリカ経済を世界で最もHOTなものにしている。しかし州による過度な規制がこの成長を止めるおそれがある」と、AI産業に州レベルの規制を課すべきではないという主張をTruth Socialに投稿しています。また、「50州それぞれの規制の寄せ集めではなく、単一の連邦基準が必要だ」とも述べています。

著名な経済学者も、この見方を裏づける分析を示しています。

ハーバード大学の経済学教授Jason Furman氏は、年初から上半期にかけてのGDP成長の92%が情報処理機器やソフトウェアへの投資によるものだとXに投稿しました。また、セントルイス連邦準備銀行のエコノミストたちも、2025年第3四半期のGDP成長の39%をAI関連投資が占めていると推計しています。

しかし、ウォール街のアナリストはこの見方を見直し始めているのです。

ゴールドマン・サックスのアナリストJoseph Briggs氏は、「一見すると、感覚的には納得しやすい見方ではありました。その分、実際に何が起きているのかを深く検証する必要性を見過ごしていたのかもしれません」とワシントンポスト紙に説明しています。

ゴールドマン・サックスの意見は正反対

Briggs氏の同僚でゴールドマン・サックスのチーフエコノミストのJan Hatzius氏は、Atlantic Councilのインタビューで、2025年のアメリカGDP成長に対するAI投資の寄与は「ほぼゼロ」だったと述べています。

Hatzius氏は、「私たちはAI投資が経済成長を大きく押し上げているとは考えていません。AI投資が2025年のアメリカGDP成長に与えた影響については誤った報道が多く、一般に考えられているよりもずっと小さいものです」と 説明しています。

輸入依存がGDP効果を相殺

その主な理由のひとつは、AIを支える機器の多くが輸入品である点。アメリカ企業が巨額の支出をしても、チップやハードウェアを海外から輸入すると、GDPの計算上はその分が相殺されてしまうのです。

「アメリカで見られるAI投資の多くは、台湾や韓国のGDPへ寄与することはあっても、アメリカのGDPにはそれほどプラスにはなりません」とHatziusは述べています。

さらに現時点では、企業や消費者によるAI活用が経済成長にどの程度貢献しているのかを正確に測定するための、信頼できる方法がないのです。

さらに、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの経営幹部を約6000人を対象とした最近の調査では、70%の企業が積極的にAIを活用している一方で、約80%が雇用や生産性に影響はなかったと回答しています。

これだけ盛り上がっているAIですが、AIが生産性を大きく改善したとは感じているという企業経営者はあまりいないというのが現状のようです。

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