この記事をまとめると

■5ナンバー車は新車購入時の選択肢が減っている一方で登録済み普通車の45%を占める

■日本国内の道路事情や駐車環境によりいまだに5ナンバーが好まれるという事情がある

■5ナンバー車の選択肢減が軽自動車へ目を向けさせることにもなっている

根強く残る5ナンバー車待望論

 日本特有の車格である5ナンバー車は、新車購入に際して選択肢が減っている。一方、今年2月末時点の国土交通省による統計では、乗用車の自家用での保有台数は、5ナンバー車となる小型で約17万台、3ナンバー車の普通車で約21万台とある。つまり、45%近くは5ナンバー車なのだ。

 ちなみに、乗用車を営業に利用している台数は、5ナンバーの小型車が約14万台で、3ナンバー車の普通車は6万台以下だ。営業用となれば、車両価格や燃料代などの経費が重視されるので、小型車が2.5倍近く使われている理由がわかる。加えて、仕事で毎日のように使う営業車であれば、取りまわしのよい小型車が好まれるところもあるだろう。

 ちなみに軽自動車の保有台数を確認しておくと、乗用が約23万台、営業用が約1万9000台だ。そして、保有台数全体の比率でいうと、約37.7%が軽自動車になる。その軽自動車を含めた総数での5ナンバーの小型車比率は、27.8%である。保有台数の3分の1以下であるとはいえ、まだまだ需要のある5ナンバーの小型車の選択肢が限られることが、軽自動車への移行を促しているのではないかとの見方もできる。

5ナンバー車は道路事情や駐車環境にぴったり

 なぜ、今日なお5ナンバー車の保有が数を保っているのか?

 理由は、国内の道路事情や駐車環境にあるのではないだろうか。日本では、建築基準法によって4m道路の規定がある。路地を含め、道幅は道路の中央線から左右へ2mずつ確保しなければならない。ところが、それより狭い道は住宅地や旧市街などにいくらでも存在する。法規がありながら、なぜ改善されないのか。その訳は、道路を拡幅するには家の建て替えが必要だからだ。改築では、4m道路への適応がなされない。道路を4mへ拡幅するには自分の土地を削らなければならないから、建て替えではなく改築で済ませる家がある。つまり、いつまでたっても道幅の狭い路地は残り続けるのだ。

 道路の幅だけでなく、駐車場の枠も、3ナンバー車が増えたからと広げられているわけではない。

 一般に、駐車枠は、長さが5mで幅は2.5mだ。ここに、車幅が1.7mを超える3ナンバー車を止められると、片側40cm以下のゆとりしかない。現実的には1.8m前後かそれ以上の車幅になることが多いので、ゆとりは30cm前後となり、片側15cmほどだから、ドアの開け閉めや、乗り降りで苦労するのではないか。

 一方、駐車場側から見れば、月極であれ時間貸しであれ、限られた敷地内により多くの台数を止められるようにしたほうが土地の所有者は儲けが増える。したがって、駐車枠が拡大される例は限られるだろう。新築の高層ビルでも、耐震性を考えた設計となると、駐車場への通路などは狭くならざるを得ない。

 戸建て住宅に併設される車庫も、家を建てる際に優先されるのは、間取りや部屋の広さで、その結果、車庫は狭くなりがちだ。そこに3ナンバー車を止めれば乗降が難しくなるのはもちろん、家の前の道路に車体をはみ出させ止めている様子さえ見かける。

 単に税金がそれほど違わないというだけで消費者は新車を選んでいるわけではない。車庫入れや、走る頻度の高い道路の事情を加味して、5ナンバーの小型車であることを望む声はまだ多いはずだ。

 グローバルカーという名のもとに、効率的に原価を下げ儲けようとする自動車メーカーの姿勢が、5ナンバーの小型車の選択肢を減らし、軽自動車へ目を向けさせることにもなっているのではないだろうか。