北島三郎

写真拡大

 日本が誇る演歌界のレジェンド・北島三郎(86)が“終活”に励んでいる。

【写真を見る】キタサンブラックのそばで笑顔を見せる北島三郎

「取り組みの一つが、北島がホストを務めるBSテレ東の音楽番組『サブちゃんと歌仲間』の終了です」

 と言うのは、事情に詳しい芸能事務所関係者。

「平成8年から27年も続いた長寿番組で、最終回は3月25日の予定。北島の“若手の歌手が歌える場を”という意向をコンセプトに据え、放送は通算1377回、出演した歌手は延べ6千組に達するとか。北島は昨年、芸能生活60周年を迎えました。来年には米寿という年齢的な問題もあり、自分で“引き際が大事”と区切りをつけたそうです」

 昭和47年の創立で、いまも自身が会長を務める北島音楽事務所も、近いうちに規模を縮小するという。

北島三郎

「所属するベテラン歌手の原田悠里(68)や北島の娘婿の北山たけし(49)、中堅どころの山口ひろみ(47)と大江裕(33)の4人が、3月いっぱいで事務所を離れることが決まっています」

車椅子生活も決断を後押し

 北島音楽事務所は、かつて山本譲二(73)をはじめ、小金沢昇司(64)、大橋純子(72)、ヒット曲「ダンシング・オールナイト」で知られるシンガーソングライターの、もんたよしのり(72)も在籍したことで知られる。

「北島は弟子たちから“おやじ”と慕われ、事務所は周囲が“北島ファミリー”と呼ぶほど固い結束を誇ることで有名でした。それでも、ここ数年はコロナ禍で思うようにコンサート活動が行えず、大きな収入源を失っていました」

 北島もここ何年かは、あちこち体調不良を訴えていたという。

「平成28年には手足に痛みが生じる頸椎症性脊髄症の手術を受けたほか、4年前には自宅で転倒して左右の足の指を骨折しています。いまだに車椅子生活が続いていることも、事務所を縮小させる決断を後押ししたのでしょう」

実力派の中堅、若手にヒット曲が出ず

 振り返れば北島は、出場49回という偉業を達成した平成25年を最後に、NHK紅白歌合戦からの“卒業”を宣言した。

「あの頃から、本人は引退に向けた準備を始めていたのかもしれません。2年後には通算4578回に達し、昭和43年から続く芝居と歌の座長公演にピリオドを打ちましたし、昨年には名古屋や大阪、福岡でファイナルステージを開催した。最終公演は思い入れのある東京・明治座が会場でした」

 大劇場での数日に及ぶ公演としては最後のコンサートだったが、ファンの高齢化も影響したのか観客席には空席が目立ったという。

 芸能デスクが解説する。

「北島の終活は、衰退が著しい演歌界の現状を象徴しているようにも見えます。紅白からは北島だけでなく、森進一(75)や五木ひろし(74)、美川憲一(76)、細川たかし(72)、八代亜紀(72)、小林幸子(69)といった大物らが姿を消していますから」

“演歌第7世代”と呼ばれる若手も、少しずつ登場してはいるが、

「スターの氷川きよし(45)は昨年限りで活動を休止していますし、彼に続くべき辰巳ゆうと(25)、真田ナオキ(33)、田中あいみ(22)といった実力派の中堅・若手には、いまだこれというヒット曲がありません。日本レコード大賞で最優秀新人賞などを受けたりしてはいますが、一般的な知名度はまだまだ低いと言わざるを得ません」

 昭和、平成、令和と歌い続けた、サブちゃんの穴はあまりに大きいか――。

「週刊新潮」2023年3月9日号 掲載