元『DA PUMP』宮良忍、営む民宿が「コロナ禍でも満室」に感謝
「民宿みやら」を営む元DA PUMPの宮良さん(写真・本人提供)
「こんなときでもお客さんが喜ぶ姿を眺められることが、僕の最大の “燃料” になっているんです」
そう語るのは、2006年まで『DA PUMP』メンバーとして活動していた『SHINOBU』こと、宮良(みやら)忍さん(40)だ。宮良さんは、1997年にISSAらとともに『DA PUMP』初期メンバーとしてデビュー。5年連続で『NHK紅白歌合戦』にも出場した。
しかし今、宮良さんが口にする「お客さん」とは、アーティスト活動でのファンのことではない。宮良さんは、自身の故郷である沖縄県小浜島に戻った2012年から、音楽活動と並行して、父から引き継いだ「民宿みやら」の経営もおこなっているのだ。
民宿経営9年めを迎えた2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が起きた。大打撃を受けた全国の観光産業。宮良さんの民宿は――。
「感染拡大が始まった2月〜3月ごろは、僕自身も関東でライブができていました。今は、なかなかできる状況ではありませんが、うちの民宿には日々、お客さんが宿泊に来ていただいています。コロナで仕事がない人、できない人もいるなかで、そのことには感謝しかありません」(宮良さん・以下同)
経営しているのは、6〜7人ほどが泊まれば満室になる、小さな民宿。1泊2食つきで7000〜8000円前後と、リーズナブルな価格だ。
「コロナだからといって、来てくださるお客さんを僕が選ぶことはできません。なので、大事にしているのはコミュニケーションなんです。
お客さんのあいだには、コロナに対する温度差があります。僕のほうから自然な流れで『うちの民宿では、こうしてください』と伝えられるように、コミュニケーションを取っています。あとはもう、『皆さん僕を信じて来ていただいているし、僕も皆さんを信じています』ということ。これに尽きます」
その思いが伝わったのか、新型コロナウイルス感染拡大後も、絶えず予約が入っているという。
接触を避けることが推奨されるコロナ禍では、人々の “分断” への危惧が叫ばれている。こんなときだからこそ、宮良さんは人と人の心のふれあいで、旅をより良いものにしてほしいと願う。
「自分の役目は、お客さんが印象に残る旅をするお手伝いをすることです。夕食後は、僕も交えて『ゆんたく』(沖縄言葉で『わいわい盛り上がる宴』のようなもの)をして、お客さん全員がいい距離感でいられるように心がけています。
今の時期は、お酒は出していませんが、別々に来たお客さんたちが、世間話などしているのを見るのが好きなんです。これが民宿をやっていて、いちばん『よかったな』と思える瞬間です。離島後も、お客さん同士で連絡を取り合って、次のときには、一緒にうちの民宿に来てくれる方々もいらっしゃいます」
今も「民宿みやら」が満室なのは、忘れかけていた人間味が、そこにあるからかもしれない。