転んでもタダでは起きない(写真/EPA=時事)

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 11月23日の午前0時までに、韓国の文在寅大統領は重大な決断を迫られる。その時刻をもってGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)が失効するからだ。

 韓国政府がGSOMIAの破棄を決定したのは8月22日。日本による半導体素材輸出管理強化と、「ホワイト国除外」への対抗措置として“対日カード”を切ったのである。

 だが、破棄直後に米国防総省が「強い懸念と失望」を示し、北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に撃ち込むと、賛否が二分されていた韓国世論も「GSOMIA破棄の見直し」に傾き始める。

 曹国(チョ・グク)・前法相のスキャンダルも追い打ちをかけ、文大統領の支持率は10月中旬までに、就任以降、最低となる39%まで下落した。

「韓国の建国記念日である10月3日には、朴槿恵前大統領の時を上回る30万人規模の『文在寅退陣要求デモ』がソウル市内で行なわれました。また、韓国の保守系弁護士団体がGAOMIAの破棄を巡り違憲訴訟を起こしたり、韓国国防相が『GAOMIA維持』を公然と訴えるなど、文大統領は崖っぷちに追い込まれている」(韓国紙記者)

 今月6日にはスティルウェル米国務次官補が韓国に乗り込み“最後通牒”を突きつけたが、文大統領はどう出るつもりなのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はこう見る。

「日本が経済問題で譲歩しない限り、大統領府のロジックとしては破棄するしかない。ただし、米国から厳しい突き上げがあるので、23日の段階では破棄を留保、凍結する可能性も残されています。そうなれば、国民にも米国に対しても一応の名分は立つという考え方はできますからね」

 大騒ぎした上で“現状維持”に落ち着くという見立てだが、破棄を強行する可能性も残される。朝鮮半島情勢に詳しいジャーナリストの河鐘基氏が指摘する。

「そうなった場合、今度はどこかのタイミングでGSOMIAの再締結、ないしは同等の枠組みを提案し、新たな対日交渉カードにする可能性があります。韓国側が“譲歩”したと演出し、輸出規制解除や歴史問題の清算を迫ると思われます」

 日韓関係の雪溶けはまだ先が見えない。

※週刊ポスト2019年11月22日号