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元大阪市長で、弁護士の橋下徹氏が、有田芳生参院議員から名誉を傷つけられて、精神的な苦痛を受けたとして、慰謝料500万円を求めていた訴訟で、最高裁は、橋下氏側の上告を棄却する決定を下した。決定は9月19日付。橋下氏側の請求を退けた大阪高裁判決が確定した。

●インターネット上で言論の応酬があった

判決などによると、ことの発端は、有田氏が2012年10月、ツイッター上で、橋下氏の出自について触れた佐野眞一氏の連載『ハシシタ 救世主か衆愚の王か』(週刊朝日)について「すこぶる面白い」「私が『面白い』と表現したのは、維新の会のパーティーとその裏側を描いたところ」とつぶやいたことだった。

橋下氏は同月、ツイッターに「有田芳生参議院議員。こういう自称インテリが一番たちが悪い」と投稿した。2017年1月には、「有田芳生参議院議員なんて、僕の出自を記事した週刊朝日について『面白い!』と大はしゃぎ。それで自称人権派だって。笑わせてくれるよ。最低な奴」と投稿した。

さらに、大阪市長を退任したあとの2017年7月、プレジデントオンラインで、「有田芳生の人権面は偽物だ」と題する記事を寄稿した。「参議院議員の有田芳生。こいつだけはほんと許せないね」と記載した。また、ツイッターに「有田、早く辞職しろ」とつづった。

これらを受けて、有田氏は同月、「『ザ・ワイド』(編集部注:日本テレビ系列のワイドショー番組・2007年9月放送終了)に1回だけ出演して降板させられた腹いせではないかと思えてしまう」とツイッターに投稿した。

●1審、2審ともに橋下氏の請求を棄却していた

橋下氏は2017年8月、有田氏によるツイッター投稿が、橋下氏の能力に関して否定的な印象を与え、社会的評価を低下させるものだとして、大阪地裁に提訴した。

1審の大阪地裁は2018年8月、有田氏のツイート中「『ザ・ワイド』に1回だけ出演して降板させられた」の部分について、社会的評価を低下させたとしながらも、名誉毀損は限定的にとどまると判断した。

そのうえで、「原告(橋下氏)は、インターネット上において、被告(有田氏)を批判するに当たり、被告を蔑み、感情的又は挑発的な言辞を数年間にわたって繰り返し用いてきた」「(原告は)一定の限度で、被告から名誉を毀損されるような表現で反論される危険性を引き受けていた」として、橋下氏の請求を棄却した。

2審の大阪高裁は2019年2月、「相手方が、自己の正当な利益を擁護するためやむを得ず当該表現者の名誉、信用を毀損するような言動をしても、当該言動が当該表現者がおこなった言動に対比して、その方法、内容において適当と認められる限度を超えない限り違法性を欠くものと解するのが相当である」として、橋下氏の控訴を棄却した。

●有田氏「精神的な打撃は大きなものがあった」

有田氏と代理人弁護士は9月26日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、最高裁の決定について報告した。有田氏は、内容証明などの事前予告もなく、ある日突然、橋下氏から訴状が届いたというエピソードをあげて、「精神的な打撃は大きなものがあった」と述べた。

そのうえで、いわゆるスラップ訴訟が社会問題になっていることに触れて、「裁判の勝ち負けに加えて、相手にいかに打撃をあたえるのか、という手法と思わざるを得なかった」「今回の裁判に勝てたことは、私個人としてとてもうれしい」とホッとした表情で語っていた。