イングレス@石巻レポート3:Ingress開発者ジョン・ハンケ氏インタビュー
イングレスミートアップ@石巻も2日目。イングレスの生みの親であるジョン・ハンケ氏にインタビューできました。その模様をお伝えします。ジョン・ハンケ氏は現在、Googleナイアンティックラボ副社長ですが、その前にやっていたのはGoogle マップであり、Google Earth でした。そもそもGoogle Earthが実現可能になったのは、Googleがkeyholeという会社を買収したおかげ。そのKeyholeを作ったメンバーの1人が、ジョン・ハンケ氏です。
ジョン・ハンケ氏には「なぜイングレスを作ったのか? イングレスの未来は?」を尋ねました。実際に石巻でのイングレスのイベントを経験しての感想なども訊ねたいところ。話は途中から思わぬ方向に流れ、意外な話を聞くことができました。
ジョン・ハンケ氏「イングレスで地域を発見して欲しい」
Q:今回、石巻までやってきた理由は?
プレイすることで、その地域のあたらしいものを見つけることがイングレスの目的です。石巻では震災による破壊もあったけど、そこから復興の姿も見ることができて、コミュニティによるイングレスの使い方として、すばらしい使い道であると思います。
Q:イングレスの今後の展開について
大きな構想としては、プラットフォームとして発展させ、イングレスの上でクリエイターやデベロッパーがイングレスのようなゲームを作れるような環境を作っていくことです。ゲームは無数にあるけど、外に出て遊べるゲームは、本当に少ない。外に出て遊べるようなゲームを作れるプラットフォームとして育てていくのが、イングレスのビジョンです。
また、今ゲームの業界は分岐点に差し掛かっていると思っています。1つはバーチャルリアリティーの世界を作り上げて、こもって外の世界と隔絶された状態でゲームを楽しむもの。もう1つはリアルな世界で、実際に顔を合わせてコミュニケーションしながらやるゲーム。我々はテクノロジーを使って、後者の方向に踏みだそうとしています。
Q:なぜコミュニケーションを重視するのか?
私はどうすれば、人を幸せにできるか?ということを考えています。人生の楽しみの中で、大きなものを2つ出すとすれば、1つはエクササイズ、歩いたり、走ったり、バイクに乗ったりすると、気持ちよくなるような化学物質が身体の中から出るものです。2つ目は、他の人間とコミュニケーションを取ることで、人は幸せになるものです。
グーグルアースのストリートビューには生活に役立つことがいろいろとあり、1つは実際に出かける前に計画を立てて、冒険の準備ができます。もう1つはGPSを使って、自分の行動を地図上の記録して楽しめるということです。そして、人々がそういったデータをグーグルマップ上で情報レイヤーとして楽しんでいるを見ていて、外に出て、その情報を見たり、改善できたりするとできるともっといいことが起きるのではないか? と考えたことが、イングレスを作るきっかけの1つとなっています。イングレスをプレイしていると、特に目的がなく歩いていても、外に出ればあたらしい情報に触れることができます。
Q:ナイアンテックラボのミッションとは?
歩いて冒険をすること。それは技術を使って、リアルな世界と人々をつなぐということです。テクノロジーを使って、遠くにあるものの情報を得るのではなく、自分の身の回りにあるものをどう感じ取れるか?どう変化させていけるのか? ということに注力しています。バーチャルなものを変えていくのではなく、実際に触れるリアリティのあるものをより面白くよりミステリアスに変えていくことがわれわれにとっては大事なんです。
テクノロジーという意味では、ARという言葉はあまり使いたいと思っていません。スマホのカメラをかざして何かが画面に映るなんていうようなものを我々はやっているのではないんです。現実の体験を情報レイヤーを使って拡張していくことをやっていきたいです。
Q:グーグルマップやグーグルアースが出たときに、あれは現実をデジタルに固定していくということだったと思います。イングレスもそういう何かをデジタル化していくものかな? と思っていました。でも、今回の石巻でのイベントを通じてイングレスは現実の体験を重ねていくことで、むしろデジタル情報の方が変わっていくというまったく逆方向のことをやっていると感じました。
イエス! イエス! そうだ。
子どもがいると、ずっとスクリーンの前にいるわけにはいかなくて、いっしょに外に出なくちゃいけない。そんなときもテクノロジーを使って、外での体験の質を上げていけるか? ということをやりたいんです。つまり、テクノロジーを楽しむためにスクリーンの前に居続けないといういけないという状況を変えたいんです。子どもがずっとスクリーンにいることを続けるのは、あんまり好ましいことだとは思っていなくて、子どもと大人が外で遊べるようなことができないかと思っているんです。
こういったことを考えているインスピレーションの源は、私の子ども時代の体験とつながっています。私はテキサス州の1000人もいないような小さい街で生まれて、街のほとんどの人は、自分の街に興味が無いような感じだったんです。
石巻で石ノ森章太郎のマンガで街おこしをしているのを見て思い出しました。自分のテキサスの街には、「コナン・ザ・バーバリアン(邦題「コナン・ザ・グレート」)」の著者がいて、そのコナンの物語のファンコミュニティがコナンのミュージアムを街に作りました。それから、私は自分の街をすごく誇りに思うようになったんです。自分の街やコミュニティに対して、理解が深まると自然と街への愛着も出てきます。そのおかげで、私は自分の育った場所に誇りを持てるようになったんです。
私の両親は、そのミュージアムでガイドをしていました。そうすると、こんな牛と牧場しかない街にコナンのファンがフランスとかスペインのような遠いところからやってくるのが、すごく面白かったんです。その体験がイングレスを作ってるところにいかされていると思います。Q:ありがとうございました。
世界と自分をつなげる
偶然にも、シュワルツェネッガー主演の『コナン・ザ・グレート』の続編映画『ザ・レジェンド・オブ・コナン(原題)』の公開が噂されています。公開されれば、またテキサスのコナン・ミュージアムにはたくさんの人が訪れるでしょう。日本では聖地巡礼という言葉で語られる現象です。
なにかきっかけがあれば、どんな場所にでも世界から人々がやってくる体験をした少年が、大人になって世界と自分をつなげるグーグルアースを作り出し、イングレスを生み出しました。そのミートアップで石ノ森章太郎のマンガで人が集まる石巻にやってきたのです。
これはなんとも不思議な縁を感じる話です。世界と自分を一直線につなげるようなサービスを考える人は、子ども時代に世界と自分がつながる経験をしているんだと深く納得しました。このインタビューが終わる頃、石巻ではミートアップのフィナーレを飾るミッションが遂行されようとしていました。これは日本と世界をつなげるミッションです。
ミッションが実施された場所は、石巻市街からは少し離れたところにある石巻市サン・ファン・バウティスタパーク。ここには400年前に、支倉常長をはじめとする慶長遣欧使節が乗ったサン・ファン・バウティスタ号が復元されて展示されています。
今回のミッションは、このサン・ファン・バウティスタ号が400年前に辿り着いたメンドシノ岬にハワイを中継して、太平洋を横断するリンクを作るというもの。普段は戦っている緑の「Enlightened(エンライテンド)」と青の「Resistance(レジスタンス)」の両軍が協力して2つのリンクが作られました。
みなさん、このイングレスに挑戦してみたいと思ったでしょうか? イングレス・エージェントである妹が姉をイングレスに誘うビデオが配信されています。イングレスをすでに味わっている人と、そうでない人の温度差がよく表現されているのと、イングレスの世界を紹介するいいビデオです。しかも、最後にちょっとしたオチまでありますので、どうぞ。
最後に。iOS版がリリースされれば、日本でもまだまだプレイヤー(いやエージェント)人口が増加すると予想されるイングレス。
そうなると、やはりどんどんレベルアップして、エージェントとして強くなりたいと思いますよね。そのためにはホットスポットとなっている場所を見つけるのが最適解。せっかくなので、そのホットスポット情報をひとつ紹介します。
はい、埼玉スタジアムです。ここは大変レベルの高いポータルがしかも絶妙な時間間隔で配置されており、初心者のレベルアップにはうってつけの場所。もしイングレスをはじめたばかりで、埼玉スタジアムに行く機会があるときは、イングレスを起動をお忘れなきよう。なお、イングレスiOS版のリリースはまもなくとの噂があります。
