U-17日本代表のGK高橋。アジア杯で味わった悔しさをバネに成長を誓う。写真:松尾祐希

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 現実から目を背けるわけにはいかない。U-17日本代表の一員として臨んだU-17アジアカップはGK高橋恒輝(大成高/3年)にとって、悔しさに溢れる戦いとなった。

 サウジアラビアで5月5日から22日まで開催されたU-17アジアカップ。小野信義監督が率いる若き日本代表は見事に優勝を飾り、グループステージの各組上位2か国に与えられるU-17ワールドカップの出場権も勝ち取った。

 ここから今秋の本大会に向けて、新たな競争がスタートするのは言うまでもない。第3GKとしてチームを陰から支え続けた一方で出番がなかった高橋にとっても、レギュラーの座を目ざす戦いが幕を開けた。

 その一発目の舞台がインターハイ予選だ。大成は2019年に、当時1年生だったGKバーンズ・アントン(現・鳥取)の活躍で、激戦の東京を勝ち抜いて初出場を飾ったが、以降は全国舞台に歩みを進められていない。そうしたチームの歴史を変えるためにも、高橋の活躍は必要不可欠。5月31日に行われた拓大一高との2回戦(1−0)ではビルドアップの起点となり、自陣で我慢の時間帯を強いられた後半の終盤以降は、相手のロングボール攻勢に慌てずに対応して最後尾で確かな存在感を示した。

 試合を振り返った高橋は、自身の成長を感じられる部分があったと話す。

「(アジアカップで出場機会がなかったので試合は)1か月ぶり。そういうところで不安はあったんですけど、高いレベルでやってきたし、今日の試合のスピード感を考えれば、余裕があったと思う」

 アジアカップでは、大会最優秀GKに輝いたGK大下幸誠(鹿島ユース/2年)や188センチの大型GK木田蓮人(帝京長岡高/1年)といったハイレベルな選手たちと1か月間プレー。練習の中から自分を高め、厳しいアジアの戦いをベンチから見る経験も大きな意味があった。
 
 高いレベルを味わったことはパフォーマンスにも表れており、特に声の質は大きな変化があった。これまで以上にコーチングを出す場面が増え、より細やかなものになっている。味方のポジショニングに対して声をかけるシーンが多く、些細なことでも仲間に立ち位置を修正するように求める場面も珍しくなかった。本人もコーチングに対して想いを口にする。

「代表の井出大志GKコーチから声の量はあると言ってもらったんですけど、質を高めないといけないと言われたので、細かくやる意識が出てきた」

 ピッチに立たずとも自分と向き合う。難しい第3GKという立場でも腐らずに取り組んだからこそ、多くの学びを得られたのだろう。

 もちろん、試合に出られなかったという事実は変わらないし、複雑な心境はある。「3番手というところで本当に悔しい結果だった。チームが優勝できて良かったけど、その裏側で悔しい気持ちがあった」と本人も認めるように、表に出さない部分で辛い心情があったのは言うまでもない。

 しかし、自身の想いをみんなの前では出さなかったのは仲間のためであり、自分のためでもあった。開幕前も大会中も「3番手なんで」という言葉を何度も口にしていたが、「3番手という発言をしたのは、自分がもっとやらないとダメだと再認識するため」だったと振り返る。そうしたスタンスが成長を支えており、今の自分につながっている。

 今でこそ身長は188センチあるが、中3の時点では170センチほどしかなく、所属していた三鷹Jrユースでは控えだった。挫折を何度も味わってきた高橋の挑戦は終わらない。

 大会後、帰国直後にJ1クラブの練習に参加するなど、新たな刺激も受けた。まだまだ自分にできることはある。そう信じて謙虚に愚直に取り組む守護神は得意のセービングやハイボール処理はもちろん、キック精度や判断の質を向上させてポジション争いに食い込んでいく構えだ。

 まずはチームを全国舞台に導き、夏のインターハイで日本一だけを見据えてさらなる高みを目ざす。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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