兵庫県警察本部

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 兵庫県警内で昨年、オンラインカジノで金を賭けていた警察官の存在が次々と明らかになった。

 兵庫県警は9人を懲戒処分。このうち元巡査長の男性(27)(依願退職)は約500万円を賭けたとされ、常習賭博罪で1日に地裁から有罪判決を受けた。公判では、ギャンブル依存症のカウンセリングを受けても抜け出せなかった経緯が浮き彫りになった。(脊尾直哉)

 判決では、元巡査長は2024年12月25日に計50回、昨年3〜6月には計3130回、スマートフォンでオンラインカジノに接続し、賭博した。

 検察側の冒頭陳述などによると、元巡査長は高校卒業後、県警の警察官に採用された。数年後の22年4月、後輩の巡査から勧められてオンラインカジノを始めた。野球をテーマとしたバカラ賭博だった。

 23年には競馬や競艇、パチンコなどのギャンブルによる借金が膨らみ、離婚。親の知るところになって精神科を受診し、ギャンブル依存症と診断された。大阪府内の自助グループに月1回通って、カウンセリングを受けていたという。

 しかし、やめられなかった。この年のうちに、新たにカジノサイトに登録。借金は多額になり、負けを取り返そうと、さらにのめり込んだ。暇さえあればスマホを手にするようになり、勤務中にも賭けるようになっていった。

 昨年6月、借金を抱えているとの理由で、当時の上司だった交通課長から呼ばれた。「オンラインカジノはしていないか。違法だ」と指摘され、発覚した。

 県警は同12月、元巡査長を含む9人を懲戒処分。元巡査長は処分を受けて依願退職し、起訴された。

 今年4月16日の初公判。スーツ姿で出廷した元巡査長は職業をトラック運転手と答え、起訴事実を認めた。被告人質問では、依存症のカウンセリングについて「面倒だと思い、あまり行かなくなった。そういう気持ちだったので効果がなかった」と述べた。

 元巡査長は2月以降、家計簿をつけ始め、週1回は依存症のカウンセリングや回復を目指す仲間とのミーティングに参加し、克服を目指しているという。

 岡村祐衣裁判官から「やめたいという気持ちは今後も続けられるのか」と尋ねられると、元巡査長は「同じ気持ちを持つ人と会って、危機感が途切れないようにしたい」と誓った。

 岡村裁判官は今月1日、「現職の警察官が賭博した事案。常習性は著しいが、カウンセリングに通っている」とし、拘禁刑1年、執行猶予3年の判決を言い渡した。

 元巡査長は控訴せず、判決は確定した。

「やめようというタイミングでボーナス」

 オンラインカジノについて、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)の田中紀子代表は「365日24時間、いつでもどこでもスマホで賭けられる。これまでのギャンブルより依存症に陥りやすい」と危険性を訴える。

 ギャンブル依存症は、賭け事にのめり込み、自分でコントロールできなくなる精神疾患。借金やうそで人間関係が崩れ、家庭や仕事を失うほか、犯罪に手を染めてしまうケースもある。

 田中代表によると、オンラインカジノの事業者はサイト上で賭けた履歴やデータを収集しており、「やめようというタイミングでボーナスを与えて賭けさせる。脳が快楽を覚え、依存の無限ループに陥ってしまう」と指摘する。

 田中代表は「依存症は時間がかかれば治りにくくなり、借金も増える。できるだけ早く、家族だけでもいいので、支援団体に相談をしてほしい」としている。