介護が必要な高齢者は約3500万人に…桁違いのスピードで高齢化が進む中国、このままでは”姥捨て山社会”到来の恐れ

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延期となっていた米中首脳会談の日程のめどが立った。ひとまず安心かと思いきや前編記事『TSMC会長が「役立たず」と明言、米国では締め出し法案も…中国AI・ヒト型ロボット振興のお粗末な現状』で見てきたように、中国肝いりのAI・ヒト型ロボットの研究開発に危険信号がともっている。そればかりか、技術革新は苦境の続く国内経済にさらなる悪影響を与えるかもしれない。

バブル崩壊前と酷似

現在の中国企業の状況をみるにつけ、バブル崩壊前(1980年代後半)の日本企業の技術開発に対する盲信ぶりを思い出さずにはいられない。

技術革新が雇用環境に悪影響をもたらす点も見逃せない。

香港系メディアの香港01は3月26日、「中国でAI導入を理由に従業員を解雇する動きが広がっている」と報じた。特に深刻なのは撮影現場だ。AIだけで作られた短編ドラマが急増しており、俳優などの仕事が激減しているという。

技術発展とは裏腹に、中国国内のカネ回りは悪くなる一方だ。

中国の大手国有銀行3行が27日に発表した昨年の通期決算は、いずれも純利益の伸びがほぼ横ばいにとどまった。「ゾンビ・デベロッパー」と呼ばれる大手不動産企業がローンの借り換えを繰り返して延命を図っている有様だ。

中東危機に起因する原油価格の上昇のせいで中国銀行の経営環境が一段と厳しさを増すことが確実視されている。

筆者が注目したのは、昨年の家計向け新規融資が7年前と比べて9割も減少したことだ。

少子高齢化の波も到来

将来不安が募っているため、借金してでも消費する気にはなれないのだろう。

政府の買い換え補助金が減額されたことも災いして、中国の1〜2月のノートパソコンのオンライン販売台数は前年比40%の大幅減となった。

「弱り目に祟り目」ではないが、少子高齢化の波も押し寄せてきている。

中国政府は28日、2028年末を目途に、原則として全国民を対象とする介護保険制度を導入する方針を明らかにした。中国の昨年末の高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の割合)は15.9%に達しており、日本が介護保険を導入した2000年当時の17%台に近づいている。

未豊先老が現実に

中国政府は「介護が必要な高齢者の数は約3500万人」と試算しているが、中国社会がこの重荷に耐えられるとは思えない。

介護保険の担い手である地方政府の財政が不動産不況のせいで悪化しているからだ。

財政難で公務員の給料さえ事欠く状況下で、地方政府が介護に必要な財源を捻出できるわけがないだろう。

中国の「未豊先老(社会が豊かになる前に高齢化が始まる)」はかねてから予想されていたが、これがついに現実になろうとしているのだ。

中国でも敬老精神は今は昔だ。介護保険制度が円滑に導入できなければ、各地で「姥捨て山」が出来てしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

日本にとって悩みの種となった隣国の今後の動向について、引き続き高い関心をもって注視すべきだ。

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