「WBC」独占配信のNetflixは“次回大会”の放映権も狙うのか? “視聴測定”でビデオリサーチ社と手を組んだ理由とは
地上波はやはり高視聴率
侍ジャパンが出場するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が5日に開幕。大会期間中は動画配信サービス・Netflix(ネトフリ)が国内独占配信する。大会に先駆け、侍ジャパンはセ・パ各球団と練習および強化試合を行ったが、各試合の中継局、平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)は以下の通りだった。
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2月22日 ソフトバンク戦(テレビ朝日) 4.4%
2月23日 ソフトバンク戦(TBS) 4.9%
2月27日 中日戦(TBS) 12.6%
2月28日 中日戦(テレビ朝日) 11.4%
3月2日 オリックス戦(TBS) 16.3%
3月3日 阪神戦(テレビ朝日) 17.0%
ソフトバンク戦はいずれもデーゲーム、残る4試合はナイトゲームだった。また、2月の4試合は地上波のほかに動画配信サービス・Prime Videoが生中継している。3月に入るとドジャース・大谷翔平(31)ら、メジャー選手たちがチームに合流したこともあり、高視聴率をたたき出している。

「特に3月の2試合は地上波のみの放送で、大谷選手らメジャー勢の出場で視聴率が跳ね上がりました。確実に数字の取れるコンテンツなのは明らかで、地上波で放映権を獲得できなかったこと、“逃がした魚”の大きさを改めて思い知らされた格好です」(民放キー局のスポーツ番組担当者)
5日以降のネトフリのよる配信だが、東京ラウンドにおいては中継制作を日本テレビが担い、アメリカに渡ってからの準々決勝・準決勝・決勝でも日テレが日本向けの映像制作を担う「プロモーションパートナー契約」を結んだ。
「WBCの今大会の独占放映権料を取得するために、ネトフリは150億円を払ったと言われています。圧倒的な資金力でコンテンツ制作にたけているネトフリですが、野球中継については日テレの力を借りることに。今大会の結果次第で、今後、優秀な技術畑のスタッフをネトフリがヘッドハンティングするのでは、と言われています」(同前)
150億円……ネトフリにとっても決して安くはない買い物だろう。どこまで収益化できるかが注目されるが、その柱となるのが有料の会員数。大会期間中にどこまで増やせるのかが勝負だ。
「ネトフリに加入するには、月額890円(税込み、以下同)、1,590円、2,290円の3つのプランがあり、WBCの開催前から各携帯電話のキャリアと組んで割引キャンペーンを行っています。ネトフリは2024年上半期時点でメンバー数(世帯)が1,000万件を突破したことを発表。当時、日本の総世帯数は約5,000万世帯と言われており、5世帯のうち1世帯が加入していた計算となります」(放送担当記者)
ビデオリサーチとも手を組んで
今回のWBC中継に際して、ネトフリには詳細な視聴データを集めて分析する必要があったようだ。そのパートナーとして白羽の矢を立てたのが、視聴率調査で知られる「株式会社ビデオリサーチ」だった。
同社は2月25日に《ビデオリサーチ、『2026ワールドベースボールクラシック』Netflix独占配信における視聴測定に関する業務を受託〜試合視聴と広告到達を可視化〜》と題したプレスリリースを発表している。インターネットに接続され、視聴者が動画や音楽のストリーミングやWEBの閲覧が可能な「コネクテッドTV(CTV)」、スマートフォン、タブレット、パソコンなど、主要スクリーン横断での視聴計測を実施するという。
それにより、試合視聴および表示される広告の到達状況を可視化する。特にテレビデバイスにおいては、個人単位の視聴に加え、複数人が同じ画面を視聴する「共視聴」の実態も考慮することで、視聴の広がりを把握するというのだ。
「ネトフリ独自では、こういった調査をするノウハウがありません。そこでビデオリサーチに依頼したのです。同社は関東で2,700世帯、関西で1,200世帯、名古屋に700世帯、北部九州と札幌に400世帯ずつなど、全国32地区、1万800世帯で調査を行っています。日本各地でそれだけの調査対象があれば、かなり詳細な視聴データが得られるはず。放送版ビッグデータですが、プレスリリースによると、収集したデータはどうやらビデオリサーチから公表されることはなく、ネトフリが今後のビジネスに生かすようです」(同前)
WBCの前回大会は23年。おそらく、次回大会は29年の開催になりそうだが、今大会でネトフリが収集したデータが、次回大会の放映権を取得するかどうかを左右しそうだという。
「おそらく、次回大会はさらに放映権料が高騰すると思われます。しかし、調査結果が芳しくなかった場合、ネトフリは買うかどうか。また今大会、まだ大谷が出場を決定していない段階でネトフリが配信を発表しましたが、もし、大谷が出場しなければ、ビジネスとしては失敗に終わっていた可能性も否めない。そして次回、年齢を重ねた大谷が必ずしもWBCに出場するとは限りません。たとえ地上波で中継できても、高視聴率が望めるのか。いずれにせよ、WBC主催者のビジネスターゲットに、日本のテレビ各局が入り込んでおくことが大切でしょう」(先のスポーツ番組担当者)
デイリー新潮編集部
