スパイを見つけて表彰?さらに賞金も!? 中国の“反スパイ法”を専門家が解説

中国で5月13日、50代の日本人男性に懲役12年の有罪判決が出た。『ABEMAヒルズ』は中国の反スパイ法について、千葉大学客員教授で中国の政治・社会・文化などの取材を行う高口康太氏と考えた。
【映像】“反スパイ法”で懲役12年となった日本人(50代・男性)
男性は2021年12月に中国上海市内で中国当局に拘束され、半年間の取り調べののち、国家の安全に危害を与えた疑いで2022年6月に逮捕。2025年5月13日に懲役12年の有罪判決が出た。
反スパイ法とは2014年に施行、2023年に摘発強化のため法改正され、これまでにも製薬会社社員などが拘束されている。では、内容はどういったものになるのか。高口氏は次のように解説する。
「『国家機密を流出させるスパイは捕まります』というのは当たり前の話だが、反スパイ法は、『外国人スパイを見つけて、国に通報するのは国民の義務』という話。中国にはスパイを見つけたらワンタップで通報できるアプリや、直電が繋がる電話番号などが用意されている」
「優秀通報者を表彰する大会が開かれた。中学生ぐらい〜70歳ぐらいのおじいちゃんのタクシー運転手、漁師、学校の先生、いろいろな人がスパイを見つけて表彰されている。その重要情報を国に提供すると賞金ももらえる。1等になってくると、100万円、200万円みたいな金額になってくる。外国人としては通報されるのではないかと、少しドキドキ感がある」
市内を撮影していたらスパイ!?

では、スパイだと疑いがかけられるような行為にはどういったものがあるのか。高口氏はこのように語る。
「よくあるパターンが軍事基地の撮影。実は中国には至るところに軍事基地がある。北京市内で撮影したら、後ろに軍事基地があったり、あとは地図の測量。産業データも結構大きくて、例えばEVの充電ステーションの正確な位置や数も重要データになっているので、真面目な日本企業の社員がそういうデータを集めてレポートを作ったりすると、気づけば反スパイ法に抵触している可能性はある」
ビジネスマンなど中国に駐在する人が気をつけるべき点はあるのか。
「何が重要データかというガイドラインはかなり勉強した方がいいと思う。正直な話、真面目なサラリーマンだったら、機密情報に触れている可能性はある。大概の場合は捕まらない、見つかってないだけ。どうなったら捕まるのかよくわからないので、それがアメリカや他の国が中国に渡航するリスクを少し高めにしていて、不透明な法律で拘束される危険性がありますよということを警告している状況」(高口康太氏)
(『ABEMAヒルズ』より)