異性と歩くだけで淫乱扱いされる故郷「あんたは世間の笑い者だよ」
 地方から都会に出てきた人にとって、生活する上で様々なギャップに直面する機会は多いのではないでしょうか。都会には都会の、田舎には田舎の良し悪しがあるものです。それでも、東京都では1997年以降、22年連続で転出者よりも転入者が上回り続けています。2018年は全体で約8万3000人、20歳から24歳の割合が最も多く、その数は約5万5000人です(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2018年より)。

 今回は、そんな田舎から東京に出てきた一人である結菜さん(仮名・33歳)に話を聞いてきました。

◆近所の人が勝手に家にあがりこんでくる

 結菜さんの実家は長野県。聞けばかなりの山奥らしく、地域の文化や風習が色濃く残る場所で育ったそうです。結菜さんは、大学への進学を機に上京するまでの18年間、そこで過ごしています。

「一言で言えば『ド田舎』ですね。人口が少ない町で、昔からそこに住んでいる人たちばかりなので、お互いの家庭のことはみんな知っているという状況でした。家に鍵をかけていないので、知らない間に近所のおばさんが家に上がりこんでいるということもザラです」

 近所に知り合いが多いと、なにかと便利だし楽しそうなイメージがありますが、実際にはどうなんでしょうか。

◆異性と一緒に帰るだけで「淫乱」

「楽しいだなんて、とんでもありません! とにかく人の目を気にして生活していました。常に近所の誰かに見られているんです。高校生の頃に、文化祭の準備で帰りが遅くなったので、男の子が家まで送ってくれたことがあったんです。彼氏でもなんでもありませんよ。そしたら後日、怒り狂った祖母と半泣きの母に呼び出されました」

 ただならぬ状況が目に浮かびますが、一体何があったのでしょうか。

「まず、祖母に『男と帰ったのは本当か』と聞かれました。認めると、『二度とそんな淫乱なことをするんじゃない』と激怒されました。母はおろおろして泣いていました」

 結菜さんによれば、どうやら結菜さんが男の子と帰宅している様子を隣の家のおばあさんが目撃したらしく、すぐに「男といちゃついている」と近所で噂になったそうです。

「その後も、祖母からの説教は続き、最後には『あんたなんか世間の笑い者だよ』と言われました」

 世間の笑い者とは、かなり強烈なワードです。

「これは、日常的に祖母に言われ続けてきましたね。実家では少しでも人と違ったことをするだけで『世間の笑い者だ』と言われていました」

 なんともすごい話です。

◆田舎の暮らしが耐えられなくなり、都会へ

 結菜さんは続けます。

「異性と仲良くしただけで『淫乱』と言われて、正直傷つきました。『淫乱』という言葉で、自分をとても汚らわしく感じたんです。同時に、何をするにも『世間が笑っている』と常に感じておびえていました。

 近所に離婚をした女性がいたのですが、その女性のことも『世間の笑い者』と言うし、仕事を辞めた人にも『世間が笑っている』と言っていました。狭い社会でまわりの目を気にしないと生きていけなかった祖母の事情もわかりますが、私には耐えられませんでした」

 結菜さんはこのような暮らしに限界を感じ、死に物狂いで勉強をして都内の大学に進学、一人暮らしを始めたのでした。

◆都内で感じた衝撃のギャップとは

 実際に田舎から上京してきて、なにか感じたことはあったのでしょうか。

「一番記憶に残っているのは、上京したての頃におきた出来事です。都内の電車に乗っていたら、女装をした派手なおじさんが乗ってきたんです。私は驚いてしまって、二度見をしてしまいました。自分の実家であればそれこそ、あからさまに見られて笑われて町中の噂になります。子供が乗り合わせていれば、心無い言葉を吐かれていたかもしれません。ドキドキしながらおじさんを見ていました」