auの「iPhone半額」9月で終了の衝撃──法改正で存続不可、他社にも波及
auは、iPhoneやハイエンドAndroidスマートフォンなどを最大半額で購入できる「アップグレードプログラムEX」の新規受付を9月30日で終了します。10月頃に施行される改正電気通信事業法で、端末割引の上限が2万円に設定されたことに抵触するため、存続が困難になった格好です。

「アップグレードプログラムEX」は、端末を48回(48か月)割賦で購入し、購入から25か月目以降に機種変更した場合に、端末の返却を条件に以降の残債を免除するもの。iPhoneのような高額機種を最大半額で購入できることから、スマホの端末代高騰を救済する側面もありました。

一方、残債免除の条件として、同じau端末への機種変更を求めていることから、長期に渡りユーザーをauに拘束する「4年縛り」として総務省が問題視。また、当初は条件に「アップグレードプログラムEXへの再加入」が加えられていたことから、4年縛りをループさせる「事実上の永年縛り」との批判もありました。

端末下取りも「割引」として規制対象に


今回「アップグレードプログラムEX」の提供が終了する背景としては、前述の法改正があります。

同法に関しては、総務省の有識者会議において、携帯キャリアによる端末値引きを「最大2万円」とする方針がほぼ確定。下取りを前提とする「アップグレードプログラムEX」に関しても、24回の支払い後、予見される市場端末価格と下取り価格の差額は「割引」とみなされ規制対象となります。

決算会見に登壇したKDDIの高橋誠社長は同プログラムの終了理由について『奨励金が2万円までになりましたので...』とコメント。同法の「2万円制限」により存続が困難になったと明かします。

▲決算会見に登壇したKDDIの高橋誠社長

なお、同様の下取りを前提とした端末割引プログラムは、NTTドコモが「おかえしプログラム」、ソフトバンクが「半額サポート」として提供中。秋の法改正に伴い、こちらも見直しを余儀なくさせられる可能性が高そうです。

「iPhone 11」(仮称)は9月中に買うのがお得?


なお、9月といえば毎年iPhoneが登場する時期。発売スケジュールが例年通りなら、次期モデルと噂される「iPhone 11」(仮称)は9月の中頃に発売される見通しです。その場合、9月30日までの短い期間だけ、アップグレードプログラムEXを適用して最新iPhoneを購入できることになります。

KDDIの高橋誠社長は次期iPhoneについて『まだ発売時期が降りてきていない』と前置きしつつ、仮に例年通り発売されたとしても『(短い期間だけアップグレードプログラムEXが適用されるという)いびつなものにはしたくない』と述べ、何かしらの方法で対処する姿勢を示しました。

法改正をクリアする新たな端末割引を提供へ


また、10月以降はauから端末割引が一切なくなることについて高橋社長は『お客様のもとに端末をお届けするためには、何も工夫しないわけにはいかない』と述べ、法改正に準拠した、新たな割引プログラムを模索していると明かしました。

ただ「端末割引は2万円まで」という上限がある以上、大胆な割引プログラムの提供は難しいのが実情かもしれません。