審判がサッカー観戦で抱いた悲哀 観客の罵詈雑言に「自分も言われているのか…」
今年の内容は「コンタクトプレーの見極め、デュエルを高める」「試合のクオリティを上げる」「リスペクト」だった。具体的には、去年の試合のビデオを使い、クイズ形式でメディアに判定させる。
約2時間の説明が終わった後、お茶を飲みながら審判員から直接話を聞く機会が設けられた。そこでは様々な疑問、問題提起などがなされ、意見交換の貴重な場となった。
その中でも話題となったのは、この日の朝リリースされた追加審判が導入されるという話題。これはヤマザキナビスコカップ準々決勝以降と、チャンピオンシップの試合に限ってゴール右横のラインを走る追加審判2名を入れるというものだ。
UEFAチャンピオンズリーグやイタリア・セリエAなどではお馴染みとなっているこの審判6人制が、日本でも実験的に導入されることになった。この6人制を支えるのは、審判同士が無線で会話できるコミュニケーションシステムで、2014年夏から使用されている。
では、このコミュニケーション・システムに問題はなかったか。
「いろいろありましたよ」とプロフェッショナルレフェリーの扇谷健司主審は明かす。
「雨で濡れて通話できないときがありました。しかも聞こえているのに、僕が話していることだけがみんなに伝わらない」ので、思わず「悔しい」と思ったと言う。
試験運用していたころは、その場で会話できることを忘れ、副審と10メートルほどまで近寄ったところでやっと2人も気づき、苦笑いしたそうだ。
タッチラインを割った際、ユニフォームの色をマイクに話すことででどちらのボールなのか伝えなければいけないのに、その一言が出ず、「あ、あ……こっち!」と手で合図する場面も続出したとか。
マイクを付けている耳の近くの選手から何か言われたが聞こえず、選手が「無視された」と怒ったこともあったらしい。
微妙な得点場面で副審からの情報を聞きたいのに、第4の審判がいきり立つ失点側のベンチをなだめる声ばかりが聞こえて、情報を得るまでに時間がかかったこともあったそうだ。
また、新しいマシンの調子が悪くて充電できず使用できないときもあったとか。そのときは仕方がないので「エア・コミュニケーションシステム」として形だけ装着し、システムがなかったころの要領で裁いたという。おもしろいことに、その試合のレフェリングは高く評価されたそうだ。

