写真/舩越園子(古い「日の丸マーカー」を付けてプレーした今田竜二)

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東日本が大震災に見舞われ、日本全体が今なおさまざまな面で不安や不便に直面している今、海外に身を置く日本人は自らの動き方に戸惑っている。先週のキャデラック選手権の際に震災の報を受け、「いいプレーをして日本に勇気を送りたい」と言った石川遼は、今週のトランジションズ選手権でも残念ながら予選落ち。好プレー、好成績で母国にエールを贈りたいと願っていただけに「悔しさはさらに増す」と唇を噛み締めた。

日本の非常事態に自分たちはゴルフをしていていいのか。スポーツをしていていいのか。そんな自問自答もさることながら、自分には何ができるのか、何をすべきかという自問自答も彼らは心の中で繰り返しているはずだ。米ツアーメンバーの今田竜二はバーディーごとに1000ドルを寄付する独自の運動を開始し、ツアーの仲間にも協力を呼びかけた。すぐさま7〜8人の協力者が現れたのは、世界のプロゴルファーの温かさであり、ツアー仲間の間で日頃から今田の人望が厚いからでもある。今田はまさに自分にすぐにできることを考え、即実行に移したわけだが、「バーディーを取りたいという気持ちが強くて空回り」する結果になり、今後は少しばかり違う形での協力を検討したいと言っていた。

だが、結果はともあれ、今田の行動には拍手を送りたいと思う。あとさき考えず「とにかくできることをやりたい。僕にはこれしか思いつかなかった」という今田の気持ちは、母国と母国の人々を思えばこその素直なものだったのだから。

さらに今田は、日の丸をデザインしたマーカーをキャップにつけてプレーした。キャディのケーシー・ケロッグも同じマーカーをつけていた。以前、ワールドカップ出場の際にもらったものだそうだが、こんな小さなところでも「できることはないだろうか」と考え、密かにコツコツと行動に移していた。

米ツアーも公式に義援金を集める運動を開始した。ツアーのウエブサイト上に寄付の申し込みフォームを設け、誰もが好きなときに好きな金額をクレジットカードで寄付できるシステムだ。

米ツアー選手で韓国出身の崔京周、昨季日本ツアー賞金王のキム・キョンテらも、それぞれ10万ドルを寄付してくれた。韓国人選手は日頃からチャリティ熱心。日本でも全美貞が1000万円を寄付した。日本人選手より韓国人選手のほうが行動に移すのが迅速で寄付の額も大きいというところ、日本人として少々考えさせられるのは確かだ。が、寄付や助け合いはスピードや金額を競い合うものではないし、何かをしたいという気持ちが一番大切なわけだから、それはそれでいいのかなとも思う。その一方で、被災地や被災者は現実的直接的な助けを必要としている緊急事態なのだから、迅速な対応や金額こそが求められるとも思う。

物理的にも精神的にも混乱や不安に包まれている今、価値観や優先順位というものは立場や置かれている状況によって大きく異なる。誰かが良かれと思ってやったこと、やらなかったことが、誰かにとっては不愉快だったり怒りの対象になったりもする。しかし、感謝の気持ちだけは持ち続けたいと思う。そして、どんな小さなことでもいいから、自分がやれることを「良し」と信じてやっていくしかない。もちろん、大きな「何か」ができる立場にある人は、できる限り大きな何かをしてほしい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)