アイスランド戦で決勝弾の小川(19番)。「戦術ありきのゴールだった」と振り返る。(C)SOCCER DIGEST

写真拡大 (全2枚)

[国際親善試合]日本 1−0 アイスランド/5月31日/国立競技場

 5月31日に国立競技場で行なわれた日本代表のアイスランド戦は、色々な意味で2週間後にオランダとの初戦を迎える北中米W杯に向けて、良いシミュレーションになったと言える。

 11人を交代できる特殊なルールで、終盤までスコアレスの状況で、点を取りに行くためのオプションをテストする意味でも、効果が発揮されたのが、日本の得点シーンだ。

 小川航基の決勝点は、森保ジャパンが終盤に採用した、実質3トップ型の3−3−2−2の狙いと効果が凝縮されたゴールだった。

 73分、日本は小川と塩貝健人の2トップに、左シャドーの後藤啓介が積極的に前線へ出ていく形に。名目上は3−3−2−2だが、攻撃時は3トップに近い配置となり、明確に得点を奪いに行くメッセージが込められていた。

 決勝点が生まれた87分、日本は敵陣に押し込んだ状態からセンターバックの渡辺剛を起点にボールを循環。谷口彰悟、菅原由勢、右に開いた佐野海舟を経由しながら相手の守備を揺さぶり、再び谷口から菅原へ大きく展開した。

 対応に来たウィルム・ソル・ウィルムソンに対し、菅原は左足クロスをフェイクに切り返し、右足でゴール前へ配球。その瞬間、ニアに塩貝、中央に小川、ファーに後藤、さらに外側からウイングバックの長友佑都が侵入する4レーンが形成された。

 塩貝にはヒェルトゥル・ヘルマンソン、後藤にはアーロン・グンナルソンが引き付けられたことで、中央の小川へのマークがわずかに薄くなる。菅原の正確なクロスに反応した小川がヘッドで合わせ、ニア寄りを警戒していたGKハーコン・ヴァルディマルソンの逆を突いてゴール左隅へ流し込んだ。
 
 得点シーンの直前にアイスランド側は、交代選手が10秒以内にピッチを出なければいけないという新ルールに一人が違反したことで、一時的に10人でプレーする状況となっていた。

 結果的には数的優位も得点に影響したと考えられるが、小川は「やっぱそうですか? なんか誰か言ってたんですよね。それは気づいてなかったです」と振り返る。そのうえで小川は、数的優位だったこと以上に、戦術的な狙いがうまく出たゴールだったことを強調した。

「啓介とか健人とか、人数がそもそもゴール前にいるっていうので、ディフェンスもそれだけマークにつかなきゃいけない。それだけ自分へのマークも薄くなった。個人というより、チーム戦術としてうまくハマった。戦術ありきのゴールだった」

 後藤も同様の認識だった。菅原がボールを持った際には「まずは、かぶらないこと。ニア、真ん中、ファーの3ポイントに入ることを意識していた」と明かしており、得点場面ではまさに塩貝、小川、後藤が3つのポイントを埋める理想形が実現していた。この形がワールドカップ本大会を見据えても、十分な有効性を持つと考えられる。
 
 国際大会では強豪国であっても、リードした状況はもちろん、たとえ同点でも終盤になれば、確実に勝点を取るために自陣深くにブロックを敷く場面が少なくない。力が接近するほど、細かく崩してゴールを奪う難易度が上がるなかで、クロスが得点の鍵を握る。

 ただ、闇雲に上げても高さのある相手に跳ね返されるだけであり、そのためのイメージ共有が必要だ。2トップにシャドーから191センチの後藤が絡む形は1つの回答と言える。

 高さで日本を上回るオランダとの対戦に向けても、小川は「ファン・ダイクのような相手でも、自分との戦い。高さ勝負だけではなく、前に入る、一歩早く動くことが大事」と語る。
 
 そのためには、小川がゴール前でピンポイントのボールを待つだけでなく、アイスランド戦の塩貝や後藤のような助けは必要だ。もちろん、小川が助ける側になることもある。それでも小川は自身のクロスからの得点力を強調した。

「固められた相手を崩して点を取ることほど、技術の差はないと思うし、クロスで1個、マークを外して取るというのが、現在のサッカーですごく大事な部分だと思っているので。僕はボールに触る回数だったり、クロスから仕留める回数は誰よりも多いし、そこが一番の強みなのかなと思います」。

 本大会でも再現性のあるゴールが生まれるか注目だ。

取材・文●河治良幸

【画像】あの時、君は若かった…厳選写真で振り返る北中米W杯日本代表メンバー26人の“ビフォーアフター”!