子供が行方不明になって3週間余り。

 逮捕されたのは、なんと通報した父親だった。子供の命はなぜ失われたのか。事件は防げなかったのか。全容の解明を急がねばならない。

 京都府南丹市で行方不明になった小学生の安達結希君(11)が遺体で見つかった事件で、府警は死体遺棄容疑で父親を逮捕した。父親は母親の再婚相手で、逮捕前の事情聴取に、「殺した」とも供述しているという。

 結希君が行方不明になったのは3月23日とされる。学校が家族に欠席していることを連絡し、父親が自ら110番した。その際、「車で学校まで子供を送った」と警察に説明したという。

 逮捕容疑が事実なら、父親の説明はウソだったことになる。遺体を複数回、移動させた疑いもあるという。これまでの捜索で、通学かばんや靴が別々の場所で見つかっていることも不可解だ。

 捜査の攪乱(かくらん)が目的だったのか。今後の捜査は、動機の解明や死因の特定が焦点になるだろう。

 事件は地域社会を揺るがした。現場周辺は山間地で、防犯カメラが少ないことが捜査を難しくする一因となった。遺体発見は、生存を願っていた住民にとって、大きな衝撃だったに違いない。

 同じ学校に通う子供たちへの影響も心配だ。教育委員会は、心身のケアにも気を配ってほしい。

 学校は、結希君の不在に気づき、家族に連絡するまで3時間以上を要した。市教育委員会は「対応が不十分だった」と謝罪した。初動捜査の遅れにつながった可能性は否定できない。

 SNS上には今回も真偽不明な投稿があふれた。臆測に基づく情報が多数発信され、事件と関係があるとして特定の人物の名前をさらす画像もあった。

 取り返しのつかない人権侵害を招く恐れがある。うかつな投稿や安易な拡散はやめるべきだ。

 日本では少子化が進み、政府が様々な対策を講じている。しかし、社会全体として、その子供たちを大切にしているだろうか。

 全国の児童相談所が2024年度に対応した18歳未満への虐待件数は22万件余りで、高止まりしたままだ。小中高校生の自殺は25年、全国で538人に上り、2年連続で過去最多を更新した。

 いじめへの対応が被害者に寄り添っていないとして、問題になることも多い。周囲の大人は、子供の置かれている状況に、こまめに目を配り、命を守れるように配慮することが欠かせない。