ストーカーの傾向として、元交際相手、元配偶者が半分を超えるという(yamasan/stock.adobe.com)

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 栃木県宇都宮市内のコンビニエンスストアでアルバイト店員の女性(45)が胸を刺されて搬送先の病院で亡くなり、刺した男(41)もその場で自身の腹を刺して死亡した事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は15日、当サイトの取材に対し、警察側のストーカー対策の現状を説明し、加害者と被害者の心理を分析した。

 栃木県警によると、12日午後、男はコンビニのカウンター内で接客中だった女性の胸を刃物で刺し、さらにカウンターに入ろうとする男を別の店員が止めると、男は自らの腹を複数回刺したという。

 殺害された女性は事件前、元交際相手だったという男からストーカー行為を受けていると警察に相談していた。事件3日前には110番通報で「これから家に行くと言われて怖い」と訴え、警察はストーカー行為に当たると判断して対応の説明や被害防止の助言をしたが、女性の意向に沿って男性への警告は行わなかったという。前日には再び、女性から「電話やLINEがまだ来る」などと相談されていたという。

 小川氏は「今回の事件は典型的なストーカー行為です。職場が会社など建物の中にあるのでなく、コンビニという第三者と接する場所であったことも被害者にとって不運だった。加害者は自分も死ぬ覚悟で自暴自棄になっていた。被害者は警察に『警告まではいい』と伝えていたということですが、警察から注意された加害者が逆上して行動がエスカレートすることなどを心配して『そこまでしなくていい』と言うこともあり、どれが正解かは難しいのです」と指摘した。

 警察の対応について、同氏は「ストーカーの相談件数は年間約2万件と、ここ数年は横ばいで、増えているわけでも減っているわけでもない。ただ、以前と違って専門のセクションができました。『ストーカー対策室』『人身安全対策課』などと名称は違うが、警察に専門部署があります。さらに『110番緊急通報登録システム』もあり、登録することにより、位置情報が分かる仕組みです」と解説した。

 ストーカーの傾向として、小川氏は「元交際相手、元配偶者が半分を超えます。今回の件もそれに当たります。また、全く知らない相手からの被害は10%台。職場の同僚や関係者、同級生などが20%台で、一方的に好意を寄せられたか、交際を断られたケースです」と説明。さらに「ストーカー自身が1人1人違う別人だし、被害者もそれぞれ違う。警察が警告すればストーカー行為をやめて引き下がる者が多いものの、中には逆にエスカレートする者もいる。対策には決め手がなくて難しい」と付け加えた。

 今回の事件では、死亡した容疑者が電話に加えてLINEで執ように連絡してきたことが明らかになった。小川氏は「LINEのブロック、メールの着信拒否は相手のストーカー行為をエスカレートさせる可能性がある。LINEが『既読』になれば安心していた者が、その『つながり』を絶たれることで絶望感を抱き、今回の事件のように、直接会いに来る等の行為につながりかねないのです」と指摘した。

 小川氏は「家族や仲の良い友人にも相談して情報を共有しておいた方がいい。警察にも専門部署がてきていますから、互いに協力して、これという正解がない中でも、慎重に対処していくことが大切になります」と呼びかけた。