2021年11月までにZ35の量産が決定した!

 次期「フェアレディZ」、いわゆるZ35の量産が確定した。日産が2020年5月28日にオンラインで行った決算発表および4ケ年の中期経営計画のなかで、「この先18ケ月以内に12の新型モデルを世界市場に導入する」と明らかにしたのだ。

 発表の最後に流れたイメージビデオのなかで、アルファベット「Z」のシルエットが登場し、その雰囲気はまるで70年代の初代S30を彷彿させた。

 そのうえで、なぜ日産がフェアレディZを作り続けるのか? そう思う方もいると思う。販売台数で見れば、Z34モデル末期となった現在、日本での月販台数は100台を切るのが珍しくない状況だ。

 日産の内田誠CEOが決算発表で何度の「選択と集中」という言葉を使い、スペインやフィリピンの生産工場の閉鎖に向けた労使交渉を始めると言及している。そうしたなかで今後の販売の大幅増が見込めないZのようなスポーツカーのモデル存続が難しくなってもおかしくはないはずだ。

 それでもZを残すのは、記者会見の発表資料にもあるように、日産という企業とブランドにおける「パッション」の領域に起因する。スポーツカー分野として、「Z」、「GT-R」、そして「スカイライン」の3モデルの画像を組み込み、さらにモータースポーツ参戦の画像も活用した。

 日産ブランド存続のため、日産にとってZは必要不可欠な存在であること、改めて強調したかたちだ。

主戦場は引き続きアメリカになりそうだ

 Z存続について、日本でも長年にわたるZファンからの要望が数多くあるのはもちろんだが、要望数ではアメリカが日本に勝る。

 アメリカでのZ34販売台数を振り返ると、発売開始から8年間ほどは年間7000台レベルと着実に売れ続け、2016年以降になり5000台、4000台、3000台と段階的に台数は縮小し、2019年は2384台となった。直近の2020年(暦年)第一四半期は561台で、GT-Rの約10倍となっている。

 アメリカでは「Z(ジィ―)」と呼ばれるが、その人気の原点はやはり、初代Z(S30)の存在だろう。70年代のアメリカは、排気ガス対策やオイルショックによって、60年代までの、いわゆるマッスルカーが一斉に姿を消した。そのタイミングで登場した初代Zについて、当時を知るアメリカ人Zファンは「ヨーロピアンな雰囲気があり、さらに価格がじつにリーズナブル。売れて当然だった」と語る。

 時は流れて2010年代になり、今後はフォード「マスタング」、シボレー「カマロ」、ダッジ「チャレンジャー」などアメリカンマッスルカーで、原点回帰とパワートレインの大出力化が加速している。Z35としては、これらマッスルカーに真っ向勝負を挑むというより、初代Zが多くのアメリカ人を魅了したように、独創的な商品力をアピールする必要があると思う。