毎日のように響き渡る"道路族"たちの騒ぎ声。気が狂いそうだ…。


【漫画】本編を読む/主人公に賛否両論!あなたは擁護派・否定派どっち?

住宅街の道路で遊び続ける子どもたちと、それを見守る親たち――いわゆる「道路族」という存在は、近年大きな社会問題として知られるようになった。コロナ禍で在宅時間が増えたことで、騒音トラブルはより身近で深刻なものとなり、多くの人がそのストレスに直面している。本作は、そんな日常の中で積み重なる騒音が、一人の女性の心を追い詰めていく様子を描いたショートホラーである。

■「ここは地獄だ」逃げ場のない音の暴力

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「ここは地獄だ」――女性は両耳を塞ぎ、床に突っ伏す。毎日決まった時間になると、「ピヤアアアアアアア」「キャアアアア」「アハハハハ」と、耳をつんざくような叫び声と笑い声が外から響いてくる。

自宅で仕事をしていても、電話の声すら聞き取れないほどの騒音が続き、日常は静かに崩れていく。やがてストレスは限界を超え、涙が止まらなくなる。「うるさい」では済まされない、逃げ場のない圧迫感が心を削っていく。

■「社会で育てる」が突きつける矛盾

「子どもは社会みんなで育てるもの」――そんな言葉が広まる現代。しかし女性は、「テレビでも言ってるじゃん。子どもの声が騒音だっていう人の方が迷惑だって」と、自分の苦しさを否定し始める。

騒音をつらいと感じる自分こそ間違っているのではないか。そう思い詰めていく過程は、じわじわと精神を追い込んでいく。正論が、いつの間にか人を追い詰める刃に変わる瞬間が描かれている。

■「音は怪物になる」作者が描きたかった恐怖

作者の三ノ輪ブン子さん(@minowabunko)は本作について、「どちらが正しいかは横に置いて、『音の怖さ』を描きたかった」と語る。

「騒音は人に大きな影響を与え、近隣トラブルが事件に発展するケースも多い」とし、「音には意思とは関係なく拒絶反応を引き起こす力があるのではないか」と指摘する。その結果、「音が目に見えない怪物のように感じられる」という感覚が生まれるという。単なる騒音ではなく、“恐怖”としての音を描いた点が、本作の核心である。

■共感か否定か…読者の心も試される

読者の反応は大きく分かれている。「この苦しさは被害者にしかわからない」「騒音は本当にきつい」といった共感の声がある一方、「主人公はおかしい」「子どもを責めるのは違う」といった意見も見られる。さらに「最後の車の運転手も、もしかして?」と結末に不穏な余韻を感じる声もあり、読み手の価値観によって受け取り方が変わる構成となっている。

日常に潜む問題だからこそ、誰もが当事者になり得る――そんな現実を突きつける一作である。

取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)

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