ホンダらしさ溢れる! 新型『CR-V』は究極のオールラウンダー 世界で一番売れているがゆえに失敗できないフルモデルチェンジ
究極のキープコンセプト
2月26日に日本でも発売開始となった、6代目『ホンダCR-V』。初代デビューは1995年で、昨年30周年を迎えた。ワールドワイドで販売され、『世界で一番売れているホンダ車』である。
【画像】目指すは究極のオールラウンダー!6代目となった『ホンダCR-V』と純正アクセサリー 全75枚
本稿では、発表前取材会、雪上試乗会、そして今回の公道試乗会取材を通じて理解した、『CR-Vのキャラクター』、そして『ホンダらしさ』を探ってみたい。

2月26日に日本でも発売開始となった、6代目『ホンダCR-V』。 平井大介
日本はZR-Vの存在もあり水素燃料のFCEVが先行していたが、今回、ハイブリッドモデルが導入されている。そのコンセプトは『究極のオールラウンダー』だ。
快適性、走り、ユーティリティ、走破性の全てにおいて向上しているとのことだが、先に結論を書けば、究極のオールラウンダーとはつまり究極のキープコンセプトである。世界で一番売れているだけに、失敗の許されないフルモデルチェンジなのだ。
パワートレインはホンダがe:HEVと呼ぶハイブリッドで、2L直噴アトキンサイクルDOHCエンジンと2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせたもの。これまでとの違いは、走行用と発電用モーターを同軸配列していたものを平行軸に変更。ホンダでは初めてロックアップ機構、つまりエンジンだけの駆動を高速のみから低速(緩加速、登坂)にも加えている。
スペックはエンジンが148ps/183Nm、モーターが184ps/335Nmと、ホンダ・アコードのそれとほぼ同じだが、FFであるアコードに対し、CR-VはAWDもある。車両重量はアコードが1580kg、CR-VはFFでも1750kg、AWDは1800kg(RS)〜1830kg(RSブラックエディション)と、比較の上ではだいぶ重い。
もちろんボディタイプは違うが、この重量差がクルマのキャラクターに現れていた。アコードでこのパワートレインを試乗した時は、想像以上の速さに驚いたのだが、まずは『RSブラックエディション』で走り始めたCR-Vは、重量どおり、決して速いという印象ではなかったのだ。
足まわりがちゃんと動いている
しかし街中、高速道路を走っていて、そういった重さを感じる場面はあるものの、ボディ剛性が高いからか、足まわりがちゃんと動いて処理している印象。これは雪上試乗会でも感じたのだが、乗り味も室内の静粛性も全体的に上質感がある。
高速道路でアクセルペダルを強めに踏んだところ、エンジン音がそれなりのボリュームで聞こえてきた。わざと多めに入れている? とその時は気に留めていなかったが、試乗後聞いたら、これはプレリュードでも採用されている疑似サウンドだった。

ホンダがe:HEVと呼ぶ、2L直噴DOHCエンジンと2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせたハイブリッドを搭載。 平井大介
RSに乗り換え、今度は試乗推奨コースとなっているワインディングロードを走ることに。すると、この大柄のSUVがよく走ることに驚かされた。
足が動いていることにより、コーナーでもちゃんとクルマが付いてくる印象。もちろん毎日ワインディングを走りたくなるスポーツカーキャラではないものの、少なくとも億劫になることはない。疑似サウンドも含めて、どこかスポーツカーっぽさがあるのが、ホンダらしいなぁと乗っていて感じた。
試乗後、エンジニアの方にその印象を伝えると、スポーツカーというより、ホンダは常に意のままに乗れる感覚を重視しているという。その感覚を筆者が、スポーツカーっぽいと感じたわけだ。
ボディ剛性の高さは剛性接着剤の積極採用などがあり、その結果、足まわりが動きやすくなっているそう。また、路面から高周波が入力される場合はダンパーのサブバルブが開き、オイル流量が増えることでさらに足まわりが動きやすくなっている。
他にも、話を聞いているとドライバーに楽しんでもらうべく全体的に底上げをしたという印象で、だんだんとCR-Vにどんなキャラを持たせようと思っているかが伝わってきた。
ひとつ間違えると無難かつ没個性に
オールラウンダーという方向性は、ひとつ間違えると無難かつ没個性な結果となりかねない。事実、新型CR-Vに強烈な個性があるかと言えばそれは違うし、求められてもいないと思う。
また、日本仕様は2列シートだが、東南アジアなどでは同じボディで3列シートもあり、FFだけではなくAWDも必要。しかもこれまでのCR-V市場は逃せない。つまり、求められるファクターが多すぎて、売れている今のキャラを正常進化させるしか選択肢がなかったわけだ。それはもちろん悪いことではなく、落としどころとしては納得のいく仕上がりである。

タイで生産されるCR-Vは、日本での月間販売計画はわずか400台となる。 平井大介
タイで生産されるCR-Vは、実は日本での月間販売計画はわずか400台で、これは例えば日本で一番売れているホンダ車であるフリードが、2月に8420台を販売しているから、いかにも少ないものとなっている。価格は512万2700円〜577万9400円と、見た目の価格も決して安いと言えるものではない。
しかし、低速にロックアップを加えたり、ダンパーにサブバルブを仕込んだり、ここではとても書き切れない細々とした改良エンジニアリングの数々は、走りの楽しさを常に求めるホンダらしさに溢れていた。だから、日本でどのようなユーザーに向いているかと言えば、やはりホンダ車好きなのだと思う。
日本ではニッチなオールラウンダー。それが6代目ホンダCR-Vの姿なのであった。
