【バイタルエリアの仕事人】vol.29 井手口陽介|欧州を渡り歩いて味わった苦境のなかで、掴んだ手応えと痛感した課題「ボールを奪える感覚はあった」
前編では、Jリーグ復帰を決めた理由やボランチの理想像について語ってもらった。後編となる本稿では、これまでスペイン、イングランド、ドイツ、スコットランドと欧州各国を渡り歩いてきて感じたことや、日本代表への想い、今季の目標について訊いた。
Jリーグのサッカーは組織としてしっかりしています。それに比べると海外は組織よりも、個の力を重要視しながら戦っていて、選手一人ひとりの能力が高いなという感じでした。海外に行かないと分からない感覚を、実際に肌で感じられたのは、良い経験になりました。
同じヨーロッパでもそれぞれの国のリーグによって全然違う特徴があって、スペインにいた時は2部でしたが、みんな足もとが上手くて、背丈はないけどフィジカルは強いといった選手が多かった印象です。さらに、とても戦術的なサッカーをしていました。一方でドイツは、みんなが走れて、戦えるイメージです。
スコットランドリーグは上位の2、3チーム以外は引いて守るチームが多く、やはり同じリーグ内でも力の差はありました。セルティックは常に上位ですが、後ろを固めてくる相手を崩すのは大変ですし、引いて守るチームを相手に毎試合、勝ち切るのも難しいです。
海外でプレーをしてみて、試合にはほとんど絡めなかったですが、手応えで言えば、守備は狙ったタイミングがしっかり合えば、ボールを奪える感覚はありました。
逆にもっとチームメイトに要求したり、攻撃では簡単に味方に預けるだけではなく、自分で相手を1枚でも2枚でも剥がすようなプレーができていればよかったなと痛感しました。
井手口は、2017年にA代表デビューを果たし、同年にはロシア・ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選を戦った。オーストラリア代表戦(2−0)では貴重な追加点を奪って、日本をW杯出場に導いている。
しかし、本大会では最終メンバーから外れ、バックアップメンバーとして帯同。その後、日本は森保一監督が指揮官に就任し、代表には2019年の12月に招集されて以降、約3年半、遠ざかっている。
井手口がカタールW杯を見て感じたという大きな刺激、そして今後の目標を語ってくれた。
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カタール・ワールドカップで強豪国を倒し、躍動する日本を客観的に見て、単純に凄いなと思いました。でも、それと同時に自分は何をしているのだろうかとも思わされました。だからこそ、いち早く試合に出たいという気持ちにさせられて、Jリーグに戻ろうと思ったきっかけにもなりました。
もちろん、また代表に入りたい気持ちはありますけど、今季は怪我でシーズンの前半戦を棒に振ったので、怪我なく残りのシーズンを戦うことを考えています。
チームとして目標に掲げている、リーグ戦8位以上、カップ戦ではベスト4以上。があるので、それを達成すること。そのなかで、個人的には全試合に絡んでチームの力になり、勝利に貢献したいです。
※このシリーズ了
取材・構成●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)
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