ファッションブランドにも「セカンドライン」があるように、ワインにも同じようなものがあるのをご存じだろうか。

有名なあのワインにはちょっと手が届かない。しかし、そのエッセンスを引き継いだセカンドラインなら、味もお値段も両方“オイシイ”。

そんな一本をワインジャーナリスト・柳忠之氏に聞いてみた!


Q.名ワインならば、セカンドラベルもきっと素晴らしい名品なはず。覚えておくべき一本を教えて!


柳「おや、そのおニューのバッグは『クロエ』かい?」

――いいえ、これはセカンドラインの『シーバイクロエ』です。さくっとクロエを買うのは、ちょっと気が引けます……。

柳「ふ〜ん、シャトー・マルゴーの「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」や、シャトー・リューセックの「R・ド・リューセック」みたいなものか?」

――は? なんですかそれ?




ワインにも、アパレルでいうセカンドラインがある


柳「シャトー・マルゴーは知ってるよね?」

――はい、ボルドー5大シャトーのひとつで、一本10万円はくだらないお宝ワインですね。いつかは柳さんの驕りで飲ませていただきたい、私にとって憧れのワインです。

柳「げほっ、げほっ、むせちゃった。それは東カレの原稿料で、大儲けしたら考えてあげよう。そのシャトー・マルゴーなんだけど、全部で87ヘクタール、東京ドームに換算して20個分の面積のブドウ畑がある。

素晴らしい立地に恵まれた一級シャトーとはいえ、それだけの広さともなれば、日当たりがいまいちとか、水はけに恵まれないとか、ほかよりちょっと劣る場所もあるわけだね。それから、植え替えたばかりの若木の区画とかもあったりして。」

――あっ、若木は古木ほど凝縮したブドウにならないんでしたね。

柳「そのとおり。だから、シャトー・マルゴーを名乗るに不十分と判断されたワインは、たとえシャトー内で収穫されたブドウで造られたものでも分けて瓶詰めし、別のラベルを貼ってリリースするんだ。

それがセカンドラベルと呼ばれるワインで、シャトー・マルゴーの場合はパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーと名がついている。」

――なるほど。お値段はいかほどで?

柳「年にもよるけど、だいたいシャトー・マルゴーの4分の1かな。」


誰もが知るオーパスワンにもセカンドラインがあった!


――美味しさまで4分の1ですか?

柳「下手なボルドーの格付けワインよりずっと上等だよ。むしろ若いうちなら、シャトー・マルゴーよりパヴィヨン・ルージュのほうが美味しく感じられるかも。

しかも2009年以降は、サードラベルの「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」まで造られるようになったので、セカンドラベルの質が底上げされている。」

――あっ、オーパス・ワンの「オヴァーチュア」! ひょっとしてあれもセカンドラベルですか?


まだまだある!知ってるとお得なセカンドラベル


柳「オヴァーチュアを知ってるなんて、クラリンすごいね。そのとおり! 以前はワイナリーだけで買えたのに、最近は市場にも出回るようになったみたい。

カリフォルニアだと、スクリーミング・イーグルの「セカンド・フライト」改め「ザ・フライト」とか、ハーラン・エステイトの「ザ・メイデン」とかが有名なワインのセカンドラベルだね。」

――イタリアにもありますか?




柳「サッシカイアの「グイダルベルト」、それにトスカーナのペトリュスと言われるマッセートから、新たにセカンドラベルが登場するらしい。その名も「マッセティーノ」だ。」

――セカンドラベルはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなど、フランス以外の国でもボルドータイプのワインに多いんですね?

柳「いいところに気がついたね。ところがブルゴーニュのピノ・ノワールにもいくつかあるよ。

コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエの「シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ」は、特級「ミュジニー」の若木とふたつの一級畑のブドウをブレンドしたワインだし、「ラ・フォルジュ・ド・タール」は特級「クロ・ド・タール」の若木から造られたセカンドラベルだね。」

――もう覚えきれませーん。

柳「では最後に、今一番注目の日本ワインから一本。シャトー・メルシャンが勝沼の自社管理畑「城の平ヴィンヤード」のブドウから造るワインに「城の平 オルトゥス」がある。

そのセカンドラベルがシンプルなネーミングの「城の平」だ。まっ、この場合は「城の平」のプレミアム品が、「城の平 オルトゥス」というべきかもしれないけど。」

――ふむ、オルトゥスはラルフ・ローレンでいうパープル・レーベル?

柳「クラリンにはファッションに変換すると分かりやすいんだね……。」



たとえば、こんな1本
「シャトー・メルシャン 城の平 2013」

山梨県の勝沼にある「城の平ヴィンヤード」は、シャトー・メルシャンが初めて垣根栽培に挑戦した自社管理畑。そこで収穫されるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローをブレンドしたのが「城の平」だ。この上に「城の平 オルトゥス」があるが、十分なストラクチャー。

¥8,000/メルシャンお客様相談室 TEL:0120-676-757




教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える。




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