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 最近、ドラマやCMで歌を披露する女優が増えています。ちょっと一節歌うだけでも芸能ニュースで取り上げられるので、宣伝効果は絶大。これからもこのトレンドは続いていくんでしょうね。というわけで、2019年版歌ウマ女優を、何組かご紹介しましょう。

池田エライザ(23)

 親指姫に扮したauのCMや、NHKBSプレミアムの『Covers』でも歌を披露している彼女。もともと音楽が好きだった様子で、自身のツイッターアカウントでも、しばしばギターの弾き語り動画を投稿しています。

 注目すべきは、選曲センス。「きのこ帝国」や「andymori」などのマニアックなJロックのチョイスから、相当な音楽好きだと思われます。『Covers』で披露した青江三奈のカバーなども含め、“歌手”池田エライザのアルバムが聞ける日も、そう遠くないのではないでしょうか。

長澤まさみ(32)

 映画『SING/シング』の吹き替えで、見事なロックボーカルを披露していたのも記憶に新しいところ。

 しかし、世間に“歌ウマ”を広めたのは、ドラマ『若者たち』で披露した「Stay」(アメリカのシンガーソングライター、リサ・ローブ 1994年の大ヒット曲)でしょう。ギター女子にとって通過儀礼のような曲ですが、長澤まさみは素直な歌い方で、楽曲の魅力を十二分に引き出していました。

 地声そのものが音楽に向いているのでしょう。「セーラー服と機関銃」のカバーも、オリジナルへのリスペクトと、みずみずしさが絶妙なバランスで両立していました。個人的に、もっと歌ってほしい女優の一人です。

清野菜名(24)

 いまやCM女王をうかがう勢いで、人気急上昇中の彼女。かつて、自身のインスタグラムで弾き語り動画を投稿していました。演技同様、運動神経の良さと、しっかりとした筋力を感じる歌と演奏で、安定度は抜群。

 映画『金メダル男』やドラマ『今日から俺は』などでは、劇中歌も歌っていましたね。歌いっぷりのみならず、うどんの食べっぷりもすがすがしい。人気があるのもうなずけます。

原田知世(51)

 ドラマ『あなたの番です』で、プチ再ブレイク状態を迎えているからこそ、いま一度“ボーカリスト”原田知世にクローズアップしたいと思います。アイドル時代の大ヒット「時をかける少女」や、高橋幸宏(67)らとのユニット「pupa」でボーカルを務めるなど、幅広い音楽活動でも知られている彼女。

 なかでも忘れがたいのが、1997年のスマッシュヒット「ロマンス」。当時流行していたスウェーデンポップスの制作陣が手がけた名曲です。22年経ったいまも、サビの<花をみて>のところでウルウルきてしまいます。またNHKの『うたコン』で歌ってくれないでしょうか?

◆杏(33)

 主演する新ドラマ『偽装不倫』もスタートし、相変わらずの人気を誇る彼女。歌のほうはご無沙汰ですが、“歌ウマ”女優のパイオニアとして忘れることはできません。

 槇原敬之の「どんなときも」から、のんのCMで脚光を浴びたキリンジの「エイリアンズ」までを歌いこなす実力派です。そして、やっぱり彼女もギターが達者。総じて、女優の方がJポップのギタ女より上手い気がするんですが、気のせいでしょうか?

上白石萌音(21)、萌歌(19)姉妹

 姉妹そろって演技も歌もいけるなんて、めったにないことですよね。姉の萌音は、映画『君の名は。』の試写会で即興で披露した劇中歌「なんでもないや」で、大変話題になりました。

 そして、キリン「午後の紅茶」のCMで「楓」(スピッツ)を歌った妹の萌歌も、負けず劣らず、堂々たる歌手ぶりでした。

 2人とも、どことなく昭和の香りただようたたずまいで、年齢以上の安心感を覚えます。

◆クリスティン・チェノウェス(50)

 さて、最後はアメリカの女優。主にドラマで活躍し、「アグリーベティ」や「glee」などに出演しています。今回、“歌ウマ”というくくりでご紹介してきましたが、彼女レベルになると、わざわざ上手いと言うのも憚られるほど。

 ドン・ヘンリーの名曲「Heart Of The Matter」をピアノの伴奏だけでカバーしたラジオ放送でのライブは圧巻。150センチの体のどこに、こんなパワーがあるのか不思議になります。

 というわけで、今後ますます増えそうな歌う女優たち。そんな芸達者が増えるほどに、基準が底上げされていくのですから、歓迎したいですね。

<文/石黒隆之>

【石黒隆之】
音楽批評。ipodに入ってる曲は長調ばかりの偏食家