『10回切って倒れない木はない』©日本テレビ

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 ドラマ『10回切って倒れない木はない』(日本テレビ系)の第2話では、京本大我演じる山城拓人が醸し出す“不穏さ”に惹きつけられた。それは京本のもつ華やかな明るさが拓人と重なりながらも、彼の抱えた影の部分をより際立たせているからだろう。

参考:SixTONES 京本大我、表現活動の“軸”にあるファンの存在 「創作の原動力になっている」

 「どんなに難しいことでも、何度も挑戦し続ければ必ず成功することができる」という意味をもつ韓国のことわざがタイトルに冠された本作は、23年の時を経て運命の再会を果たす2人の国の壁を超えたラブストーリーが描かれていく。

 韓国有数の財閥の養子として育てられたミンソクこと青木照(志尊淳)と街の小さな診療所で働く医師の桃子(仁村紗和)。実は幼い頃に親を事故で亡くした2人は病院で出会い、悲しみを乗り越えるために「10回切って倒れない木はない」という言葉を共有していた。

 23年後、日本で桃子と運命の再会を果たしたミンソク。あのとき病院で出会った少女が桃子であることに気づいたミンソクは、誰にそのことわざを教えてもらったのか彼女に問いかける。しかし、桃子の口から発されたのはなんと拓人の名前だった。桃子の小学校から幼なじみであり、初回から明るいキャラクターで場を盛り上げる姿を目の当たりにしていたからこそ、彼が急速に不穏な雰囲気を醸し出し始めたことに驚いた視聴者も多いのではないだろうか。

 初登場シーンのインパクトも強烈だった。桃子からの電話に出た拓人は颯爽と白衣を脱ぎ捨てると、おもむろに「悪いな桃子。みんなが俺を待っているから」と言い残し、テレビ番組に出演。チャーミングな笑顔で視聴者を魅了する姿は、SixTONESの京本がそのまま現れたのかと思ったほどだった。子ども食堂に顔を出した際は、みんなが歓迎してくれることを期待してキザに登場するものの、子どもたちはミンソクの料理に夢中で反応は希薄。それでも気にすることなく、小さい子どもたちに友達のように喋りかけられる親しみやすさとおどけた少年心は、京本のキャラクターにもピッタリとハマっている。

 一方で、居酒屋で楽しくお酒を酌み交わしたあとの帰り道、ミンソクから両親を事故で亡くし、拓人の病院へと搬送されたと告げられた際は、一瞬だけ顔が強張る。これまでとは異なる神妙な表情を浮かべた理由は後に判明するが、この微妙な表情の変化が、拓人の繊細な人柄を視聴者に伝えたように思う。第2話のラストで彼が真剣に見つめる目線の先には、ミンソクの実の母親である未希(橋本マナミ)のカルテが。不穏さを醸し出す拓人の抱えた秘密には一気に注目が集まっている。

 ミュージカルや舞台を中心に活躍するなか、ドラマや映画などの映像作品にも出演を重ねている京本。ドラマ『ハマる男に蹴りたい女』(2023年/テレビ朝日系)では、藤ヶ谷太輔演じる主人公・紘一の恋敵でありながら、愛されキャラでもある香取を演じる。主演を務めた『お迎え渋谷くん』(2024年/カンテレ・フジテレビ系)では、今をときめく売れっ子俳優・渋谷大海のうぶで不器用な性格と、愛花(田辺桃子)への恋心が暴走してしまうポンコツな一面を器用に表現してみせた。

 そして、日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』(2023年/TBS系)の第8話にゲスト出演した際は、バスジャックの犯人役として異様な存在感を放った。隠し持っていた銃で皆実(福山雅治)の肩を撃ち抜き、乱暴な口調で乗客を脅しながら、狂気を宿した目で睨みつける姿には普段の京本の面影はない。しかし、常軌を逸した行動を取る彼の胸中には、匿名のSNSで好き勝手に誹謗中傷を行う人々に対する憎しみと母親を亡くした悲しみが渦巻いていた。連行される間際に「俺がバスジャックの犯人だ。くれぐれも間違わないように」と念を押すやるせない表情には、事件を起こすことでしか自身の感情を発露できなかった彼の行き場のない苦しみや憤りがたしかに滲んでいた。

 2024年に公開された『言えない秘密』で映画単独初主演を飾り、5月4日にPrime Videoで配信される『憧れの作家は人間じゃありませんでした』でも主演を務めることが決定している京本。人外で謎に満ちた美貌の吸血鬼作家という設定てんこ盛りな役柄を本作では演じるが、不思議と京本ならファンタジーな世界観にも馴染みつつ、作家・御崎禅のミステリアスな雰囲気をまとうことができるのではないかと期待してしまう。

 『10回切って倒れない木はない』でドラマ初共演を果たす志尊淳とは同学年で、もう10年以上の仲だという。拓人はミンソクや桃子と三角関係になりそうな重要なキャラクターだけに、彼の明るさと不穏さが同居する芝居が見られるだろう志尊との共演シーンも、よりいっそう注目していきたいところだ。(文=ばやし)