世界農業遺産に認定!【有田みかん】生産者が教える美味しいみかんの選び方

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"いいね!探し隊"が、まだまだ知られてない日本の魅力を徹底取材する地方創生番組「いいね!じゃぱん」。今回の舞台は、全国屈指の“みかん”の収穫量を誇る和歌山・有田市。有田みかんの農法は"世界農業遺産"にも登録され、ますます注目が集まります。

人口約2万5,000人(2025年10月現在)、和歌山県西部に位置する有田市。
まちを東西に有田川が流れ、西を海に、南北を山々に囲まれていて、自然豊か。その地形が、数々の名産品を生み出しています。

ふるさと納税の返礼品としても大人気! こだわりの国産うなぎ




まず向かったのは、箕島漁協直営新鮮市場「浜のうたせ」。
広い店内には野菜や果物が並び、特に人気なのが鮮魚コーナー。目の前の海で獲れた新鮮な魚が日々並びます。
担当者のおすすめは「太刀魚」。全国でも有数の水揚げ量を誇り、ほどよい脂と濃厚なうまみが評判。
「特に1月頃は脂が一番乗って美味しいです」(有田市役所産業振興課水産係 高野芳隆さん)。


隣接する食堂では、海の幸がたっぷり載った海鮮丼も人気。


続いて向かったのは「うなぎ屋 かわすい」。昔は有田川でよくうなぎが獲れたそう。
お店を経営しているのは、創業50年以上の「川口水産株式会社」。全国の養殖業者からうなぎを生きたまま仕入れ、職人が手作業でさばきます。
元々は小売専門でしたが、「焼きたてを食べてもらいたい」との思いから、2023年にイートインをオープン。しっかりと蒸してから自家製の秘伝ダレで焼き上げるのがこだわりで、ふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。


イートインの一番人気は、大きなうなぎが乗った「うな重」。
身はふわふわで、皮は少しパリッとした食感。ひと口食べると脂の甘みが広がり、タレの香りと相まって格別の味わい。ふるさと納税がきっかけで、このうなぎを目当てに関東方面から足を運ぶ人も。

美味しいみかんの見分け方とは?




みかんの収穫量全国1位を誇る和歌山県。その中でも、県内屈指の収穫量を誇るのが有田市のみかんです。
訪れたのは、みかんの生産から加工、販売までを手がける「伊藤農園」。
生産から出荷までを担当する中井さんの案内で、車で急な坂道を上ること約10分。山の頂上付近にある畑に到着しました。


山肌は、見渡す限りのみかん畑。有田市は温暖な気候で、海岸から山地まで続く険しい傾斜が、抜群の日当たりと水はけに優れた地形を形作っています。この環境が、みかんの生育に最適なのです。


美味しいみかんを見極めるポイントは、軸が細く、小ぶりであること。
お尻の部分がボコボコしているのも、甘くて美味しい証拠です。


一番美味しいタイミングを見極めて収穫したみかんは、急斜面でも運搬できる専用のモノレールで運ばれ、選別されます。
その工程は丁寧そのもの。まずは大まかな傷や小さな腐りを人の目で確認し、みかん一つ一つに光を当て、糖度と酸度を計測します。
最後にカメラのような機械で傷や汚れ、サイズを瞬時に判断し、サイズごとに選別。人と機械の力を合わせ、美味しさを判断しています。


2024年には、敷地内に「伊藤農園カフェ みかんの木」がオープン。ここには、さまざまな品種から作ったみかんジュースが。


ジュースには規格外のみかんを使用。出荷には不向きでも、味は通常のみかんと変わらず抜群。一つずつ半分に割り、手作業でプレス機に。皮がつぶれない絶妙な力加減で、果肉部分だけを搾ります。


最低限の加熱をし、アクを丁寧に取り除いたら、そのまま果汁を瓶詰め。「絞ったままの味がストレートに伝わる」と大人気のジュースです。

カフェでは、飲みたいジュースを3種類選んで飲み比べが可能。一番人気は、濃厚な甘みと香りが特徴の「みかん(温州みかん)」。2番目に甘い「きよみ」は、酸味と甘みのバランスとオレンジの香りが人気。さっぱりとした適度な酸味と甘み、ほろ苦さが特徴の「はっさく」も好評です。


BLTならぬ「BLMバーガー」(B=ベーコン、L=レタス、M=みかん)も。


パティの上にスライスしたみかんが乗り、ひと口ごとに爽やかな酸味と香りが広がります。ソースには「きよみ」のマーマレードを使用し、パティとみかんをつなぐ架け橋のような役割に。意外な組み合わせでありながら、味のバランスが計算し尽くされた一品です。

世界農業遺産に認定「石積み階段園みかんシステム」



江戸時代、みかんは流通量が少なく、非常に高価な食べ物でした。嵐の中で江戸へとみかんを運び、その味が評判となって広まったと伝えられています。


有田みかんの原点を知るため、取材班は有田市の中でも歴史がある「糸孫農園」へ。
農園の奥にあるこちらの木が、有田みかんの原点ともいえる紀州みかんの原木。
「約450年前にこの地に持ち込まれたみかんの木で、今、5代目。接ぎ木で代々受け継がれています」(和歌山県里地里山振興室・岡田武彦さん)


現在の温州みかんと比べるとサイズは小ぶりで、中には種が。昔は「種がある=子孫繁栄につながる」ということで、縁起が良いと考えられていました。


400年以上前から有田市の農家の手により受け継がれてきたのが「石積み階段園みかんシステム」。険しい山の斜面を石で積んで段にし、農地として利用。石垣の隙間から排水されることで余分な水分が抜け、みかんの味がより濃縮されます。まさに、先人の知恵が詰まった農法。


江戸時代から続くこのみかんの育て方は、有田市を含むこの地域一帯に広がり、2025年、「世界農業遺産」に認定されました。
世界農業遺産とは、FAO(国際連合食糧農業機関)が認定する"伝統的な農業システム"のこと。社会や環境に適応しながら、何世代にもわたり継承されてきた、独自性のある伝統的な農林水産業を営む地域が選ばれます。
世界では29カ国104地域、日本では17地域が認定されています(2025年8月現在)。

さらに有田市は、有田みかんの中でも高品質なものを認定・管理する「有田市原産地呼称管理制度」を2010年にスタート。パティシエやバーテンダー、ソムリエなどさまざまな業界の食のプロが、外観・糖度・酸度・味・総合評価でみかんの品質を評価。優れた味と品質をもつものを認定し、有田市のみかんを盛り上げています。

みかんを味わい尽くすSDGsなスムージー




生産から加工、販売までを行う有田みかんの専門店「早和果樹園」。人気商品の「おふくろスムージー」は、ジュースを作る過程で取り除かれる果肉を包む薄い皮の袋を使うことから、名付けられました。
裏ごしした後のなめらかなペーストに、ジュースや寒天などを加え、飲み味が心地よいスムージーに。1本にみかん2個分の食物繊維が含まれているため、体にもうれしい一品です。


有田市の人々が守り続けてきた海の恵み…そして、美味しいみかんを生み出す知恵が作り出した景色は、訪れた人の心を温かくしてくれます。