【実食】餅に酢をかけたら美味しいの?北条時政レシピを試してみました!【鎌倉殿の13人】
時政「これに酢をかけて食うんじゃ。旨いぞ〜」
※NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第25回放送「天が望んだ男」より
北条時政(演:坂東彌十郎)が餅を丸めながら言ったこのセリフ。餅と言えば甘いかしょっぱいかしかあり得ないと思っていたので、餅に酸味を加えるレシピは正直意外でした。
確かに、考えてみれば鎌倉時代には砂糖も醤油も普及していない(これらが東国に普及するのは江戸時代以降)ため、限られた調味料の中に「酢」という選択肢があったのかも知れません。
餅を酢で食べる習慣が当時にあったのかはともかく(文献や史料など調査中)、実際のところ酢で食べる餅が美味いのかどうか、今回試してみることにしました。
意外に美味い!餅に酢をつけて食べてみた感想
そこでさっそく餅を用意したのですが、筆者としたことがあいにく酢を切らしています。
買いに行けばいいのですが、今回は冷凍保存しておいた酢橘(スダチ)果汁を使うことにしました。
一般的な米酢とは若干違うものの、酢橘は文字通り「酢の橘」。つまり酢の代用として用いられたことから、往時の人々が酢橘果汁を餅につけていた可能性も十分に考えられるでしょう。
(実際に酢で餅を食べる習慣があれば、の話しですが)
餅に酸味……果たして、お味は?(イメージ)
さて、餅も焼けたところでいざ実食。餅のかどにチョンチョンと酢橘果汁をつけて一口。おや、意外と美味しいではありませんか。
何と言いましょうか、しいて言うなら寿司のシャリ(酢飯)を餅にしたような。要するにそのままです。
柑橘系の爽やかな酸味と餅の食感が相まって、筆者は嫌いじゃありません。恐らく米酢でもそう変わらないでしょうし、何なら柚子やレモンの果汁で試しても面白いでしょう。
という訳で、実験は大成功。酸っぱい餅というイメージに抵抗感を覚える方も少なくないでしょうが、もし興味を持たれたら試してみるのも一興(おすすめ)です。
終わりに・鎌倉時代の調味料
ちなみに、鎌倉時代に使われていた調味料は塩・醤(ひしお。肉や魚などを塩漬け発酵させたもの)・酢・煎汁(いろり。出汁)、そのほか山葵(ワサビ)や生姜(ショウガ)もあったと言います。
甘味については主に果物類(柿・栗ほか)や甘酒(米麹を塩で発酵させ、デンプン質を糖化させる)など限られているものの、これらの味を組み合わせて多彩な食文化を創造してきたことでしょう。
いろいろ試してみると、新しい発見があるかも?(イメージ)
「餅に酢なんてとんでもない!」
そう思われる方も少なくないでしょうが、一度固定観念を取り払って新たな味にチャレンジしてみるのも楽しいですよ!
※参考文献:
「鎌倉グルメin中世 展示解説パンフレット」鎌倉歴史文化交流館、2019年5月石毛直道 監修『調理とたべもの 講座 食の文化 三』味の素食の文化センター、1999年3月トップ画像: NHK「鎌倉殿の13人」公式サイトより